30年の教員生活で見えてきた就活に成功する学生の秘密とは?
著者である明治大学教授の齋藤孝氏は言います。
新卒を採用するということは、どうしてもポテンシャルを見る、ということをせざるを得ません。しかし、ポテンシャルというのは潜在的な可能性のことですから、今この瞬間だけでは推し量り切れないものでもあります。
仕事に関して、なんらの実績もなく、社会的には「何者」でもない学生を採用するのですから、企業は「可能性」に賭けて内定を出すしか選択肢はありません。
ポテンシャル、すなわち潜在能力を評価するには何を指標にして評価するのでしょうか?
著者は4つの資質をみて評価していると言います。
4つの資質
- 素直さ
- タフさ
- 主体性
- 言語能力
長年学生を見てきて、これらの資質を兼ね備えている人たちがどうも就活でよい成果を上げているようだ、ということに私は気づきました。
この4つの資質は、その場しのぎでなんとかなるものではありません。
もちろん、手っ取り早く手に入れられるものでもありません。
しかしながら、
普通の大学生が普通に生活し、就職活動を行っていく上で、現実的に可能なことだと考えています。
あなたの中に眠っている「潜在能力」を上手に他人に伝えるために、本書を熟読し、就活の成功確率をあげてみませんか?
- 就活をこれから始める方
- 就活に自信のない方
- 内定が出ない方
本書の構成について
本書は、全部で4つのパートから構成されています。
- 今、就活状況は
- 就活を成功に導く四つの資質
- 大学生活における読書の意義
- 大学を利用した経験の積み方
今回はじめて売れっ子である齋藤孝さんの著作を読みました。著作を量産するイメージがあったので、本の構成・内容はシステマティックであろうと勝手に想像していたのですが、全然違っていました。文章が情熱的だったのです。紙面は文章愛にあふれていました。
4つの資質とは
4つの資質
- 素直さ
- タフさ
- 主体性
- 言語能力
素直さとは
わかりやすく言い換えると、「等身大であること」となります。
重要なのは自分が持っているものをそのままの姿で差し出すことです。
本書の「わかりやすい例え」に即せば、
あなたが、10段階評価で8点であるのならば、 従来は、10点にしようと面接で盛ってしまいがちです。 そうではなく、 自分は8点の人間なんだということをしっかりと見せるのが「等身大であること」に他なりません。
逆に、自分が八点だということをしっかり見せれば、「この人は自己評価が正確かつ適切だ」ということで九点の評価を与えられるような状況があります。
タフさとは
一般的には、肉体的にも精神的にも頑丈であることをタフさと言います。
ここでは、次の3つがポイントとなります。
- 逃げ出したい状況に挑戦する勇気を持っている
- 傷ついた状態から回復することのできる力がある
- 前向きに学習できる
就活や仕事におけるタフさとは、傷つかないことではなく、傷ついてから、どの程度の速度でどれくらい回復できるか、ということの指標です。
あなたに求められているのは、トライアンドエラーの精神なのです。
主体性とは
著者は、主体性を「当事者意識」として考えましょうと主張します。
当事者意識というのは、物事を他人事ではなく自分事として捉えて参加していくことを意味します。
主体性を自分ファーストと誤解している学生はまだまだ多いです。
社会性を問われている就活の場面では、そのような身勝手な能動性は問題外でしょう。
ある状況に対して責任を持って参加し行動するような自発性として、あなたは主体性をとらえ直さねばなりません。
言語能力とは
「あなた」という「非言語的なもの」を、相手にわかる形で伝えるために不可欠なのが「言語能力」です。
言語能力において、特に「エピソード力」を鍛えることを著者は推奨しています。
なぜなら、
エピソードの形式で情報が伝達されることにより、あなたの人となりが面接官に立体的に伝わるからなのです。
立体的に伝わるというのは、言っている事柄だけでなく、そこから想像が刺激されて、あなたのことをポジティブに考えてもらえるということなのです。
著作は本書の中で、身体的な作法について多くのページを割いています。呼吸法や姿勢についてのアドバイスは、実際の面接の場面において大いにあなたの役に立つはずです。
肩の力を抜いて
等身大の人間として、自分の積み重ねてきたこと、築いてきたこと、これから成し遂げたいこと、そういったことを適切に伝えることができれば、社会で通用する人間になれるはずです。
面接に臨むに際して、是非、上記メッセージを思い出してください。
ひとは、自分以上にも自分以下にもなれません。
単に就活を突破するだけではなく、入社後も活躍したいを視野に入れて、就活を行ってください。
そうすれば、少なくとも悔いはあなたの中には残らないでしょう。
気が付けば、いくつもの内定があなたの手の中にきっとあるはず。