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村上春樹「意味がなければスイングはない」、世界のおもりとしての音楽

投稿日:2017-02-19 更新日:

 

10年ぶりに読み返す⇒

今から10年ほど前に書かれた「意味がなければスイングはない」が電子書籍になったので、読み返しました。

確かジャズのことを書いたエッセイだと記憶していたのですが、そうではなくジャズを中心に様々なジャンルの音楽に対して言及されていました。

記憶は本当にあてにならない。

意外なアーティストも取り上げられていて大変興味深かったです。

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ラインナップ

取り上げられている音楽人は以下のとおりです。

  • シダー・ウォルトン
  • ブライアン・ウィルソン
  • シューベルト
  • ブルース・スプリングスティーン
  • ゼルキンとルービンシュタイン
  • ウィルトン・マルサリス
  • スガシカオ
  • フランシス・プーランク
  • ウディー・ガスリー

名前を知っているが聴かない人、もしくは名前も知らない人が大半であった。

村上氏の音楽的嗜好とはかなり距離があります、私。

シダー・ウォルトン

しかもそういった音像の絡み合いが、いちいち鮮やかに目で、ヴィジュアルに見てとれる。

実際、このように感じざるを得ない音楽は存在します。

しかしながら、それはいつもそうであるのではなく、なんらかの作用で、いままで何十回も聞いていた音楽が突然豹変するという具合であったりします。

思うのだけど、ジャズという音楽を語るとき、既に僕らは選択肢の内容の是非を論じるよりは、むしろ選択肢の提示のされ方の是非を論じなくてはならない、という時点にまで来ているのではないだろうか?

極めて繊細で慎重な物言いがなされているが、現代において芸術を鑑賞、玩味する上での最良の作法がここで提示されている。

新規性とは無縁のところで、批評の本質が試されているのでしょう。

ブライアン・ウィルソン

それはきわめてナチュラルでありながら、同時にきわめて意志的なサウンドだった。

遭遇の文脈がもちろん異なっているために、ビーチボーイズに対してこのような感慨はわたしには訪れませんでした。

わたしの文脈に沿えば、それはレッド・ツェッペリンになります。

意志的なサウンドというものは、唯一無二です。

少なくとも我々は生き延びているし、鎮魂すべきものをいくつか、自分たちの中に抱えているのだ。

意志的なサウンドとはこのような同志的連帯をはからずも築いてしまうものです。

ところで、ここまで絶賛されているので、ビーチボーイズのいくつかのアルバムを試聴しました。

その中で、「サーフズ・アップ」が突き刺さったのです。

グサッ。

いい感じです。

これから、聴き込んでいきたい。

いい音楽に巡り会えました、ありがとうございます。

シューベルト

実に簡単な話で、シューベルトは、ピアノソナタを書くとき、頭の中にどのような場所も設定していなかったのだ。彼はただ単純に「そういうものが書きたかったから」書いたのだ。

ものを書くとき、このような気持ちが湧いてこない人はいないだろう。

目的の強度はそれぞれ違えど、書きたいから書くはプロであろうとなかろうと物書く人の出発点であるはずだ。

僕らは結局のところ、血肉ある個人的記憶を燃料として、世界を生きている。

シューベルトに関するこのような記述をながめるにつけ、これは村上春樹氏のブログ論であるとの解釈は行きすぎであろうか。

マルサリス

「それじゃ君はまるで、ジャズのテクノクラートじゃないか」とつい言いたくなってしまう。

才能のある人間は、ともすれば勉強の過程を作品化してしまい、野生派の人たちから顰蹙を買うことがままあります。

その点をどのタイミングで突き抜けていくのかがポイントなんでしょうね。

スガシカオ

平明で散文的な言葉で語られる、ソフトなラディカリズムのようなものが、たしかにそこにある。

ジャズのちクラッシック。ときどきロック。

音楽生活をこのように想像していたので、意外でしたスガシカオさん。

村上氏がお気に入りの「月とナイフ」と「黄金の月」を聞きましたが、染みますね。

素晴らしい。

散文のプロが推奨するだけのことはやはりあります。

偉そうな物言いですいません。

ウディー・ガスリー

ガスリーの考える音楽とは、揺らぐことのない原則を追求する手段ではなくてはならず、そのための必然的なかたちをとっていなくてはならなかった。

音楽的体験が吟遊詩人をベースとしていないので、ギターと声があればそれだけでOKという音楽は苦手です。

しかしながら、ここにある、目的が手段を選ぶことにひとつの迷いもないという姿勢は心がけていきたい理想形ではあります。

スイングスイング

あとがきにあるように、「スイング」とは、優れた本物の音楽を優れた本物の音楽として成り立たせているそのような「何か」であると著者は言います。

ジャンルに関係なく、そのような「何か」はわたしたちの魂に触り、椅子から立てないほどの衝撃を時として与えるものです。

音楽がなければ人生はないと言い切れる猛者であるならば、本書は手にとってみて損はまったくありませんよ。

 

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音楽のことを書く上で参考になる表現がたくさんありました。

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