遙かなる町へ、谷口ジローさんの四角い顔の中年を街角で見たか

投稿日:2017-02-12 更新日:

 

漫画家谷口ジロー⇒

漫画家の谷口ジロー氏が亡くなられた。

とても精緻で印象深い画を次から次に発表されました。

原作もののなかでは、「「坊っちゃん」の時代」と「孤独のグルメ」は特に印象深かったです。

心よりご冥福をお祈り申し上げます。

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四角い顔

谷口氏の描く主人公は兎に角、強い印象を与えます。

特徴的なその容貌。

  • 男性である
  • 中年である
  • 顔が四角い
  • 憂慮が浮かんでいる

「「坊っちゃん」の時代」の漱石や「孤独のグルメ」の井之頭五郎が直ちに思い出されます。

安心感と頑固が同居している。

憂鬱なる形状

いい年をして、まともな社会生活を送っているのだから、当たり前といえばそうなんですが、その顔には、闊達な笑いは不釣り合いです。

日々の些事から大事まで、大小様々なやっかいが毎度彼にしなだれ、のしかかかります。

そのために、苦虫も顔を出しますが、顔つきは常時、「憂慮」を物語ることとなります。

従って、「四角」でなければならないのでしょう。

正確に言うのならば、長方形。

正方形でもまんまるでもなく、レンガの如き長方形。

この長方形の中に、人生のいっぱいや一杯一杯が詰まっているのです。

この長方形で思い出されるのは、次の二人の映画スターです。

ゲイリー・クーパーとハンフリー・ボガート。

気高く、真面目にすぎず、ワイルドに堕さず、という、いい塩梅。

遙かなる町へ

原作ものではないオリジナル作品も数多く発表されていますが、とりわけ評価の高いのは、「遙かなる町へ」でしょう。

この作品は、中年男性がタイムスリップして中学生に戻るという物語です。

アッと驚くような仕掛けはなく、人生がたんたんと綴られています。

「記憶」と「別離」が本作品の主題になっているので、読む人の年齢や経験に応じて、いくつもの解釈が成立する懐の深さを持つ作品です。

「答え」が見つからないことを知ることは、悲しむべきことです。

けれども、その「悲しさ」には、ある種の清涼感が宿っています。

中年男性の四角い顔は、そのような「悲しみ」をも取り込んで、自らの魅力の一部と変えていくのでしょうか。

 

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水たまりの一滴
四角い顔よ、永遠に。

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