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昆虫学者前野ウルド浩太郎「バッタを倒しにアフリカへ」サハラに賭けた青春

投稿日:2017-08-11 更新日:

 

子供の頃からの夢、バッタに食べられたい!?⇒

バッタに喰ってもらえて、昆虫学者としても食っていける道が開けるではないか!

昆虫学者になることを夢見たポスドクである著者は日本の研究機関に就職できる実績作りのために、西アフリカのモールタニアにフィールドワークに赴きます。

日本の国土のほぼ三倍を誇る砂漠の国での研究は過酷を極めます。

が、その苦闘の連続は抜群のユーモアセンスに裏打ちされた筆致により抱腹絶倒の日々として読者の目の前に提供されます。

本書は、人類を救うため、そして、自身の夢を叶えるために、若い博士が単身サハラ砂漠に乗り込み、バッタと大人の事情を相手に繰り広げた死闘の日々を綴った一冊である。

圧倒的に面白い。

上質の喜劇映画のような笑いと涙のブレンド。

今年の私の中のフィクションN01は「蜜蜂と遠雷」でほぼ決まりと思っています。

ノンフィクションは本書で確定の予感。

ああ、昆虫の年となった。

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本書の目次

  1. まえがき
  2. サハラに青春を賭ける
  3. アフリカに染まる
  4.  旅立ちを前に
  5.  裏切りの大干ばつ
  6.  聖地でのあがき
  7.  地雷の海を越えて
  8.  彷徨える博士
  9.  「神の罰」に挑む
  10.  我、サハラに死せず
  11. あとがき

タフネス

本書を読み進むと容易に理解できるのが著者のタフネスぶりです。

不便を楽しむ「精神的器のデカさ」が文章から立ち上ってきます。

蜃気楼のごとく。

彼の地でのご苦労や孤独がさんさんと降り注いでいたはずです。

それを微塵も感じさせないユーモラスな文章。

意図的にそのような描写を割愛しているというよりも、彼の手にかかれば「暗さ」はそのジメジメ感を一瞬にして蒸発してしまうのでしょう。

強烈な日差しだ。

神の罰=バッタ

バッタの翅(はね)には独特の模様があり、古代エジプト人は、その模様はヘブライ語で「神の罰」と刻まれていると言い伝えていた。

著者の研究目的は、世界的に天災として恐れられているサバクトビバッタの被害を抑止する方法を発見するために、この害虫の生態を研究することにあります。

年間の被害総額は西アフリカだけで400億円以上にも及び、アフリカの貧困に拍車をかける要因となっている現状です。

日本においては本当にピンときませんが、バッタ被害は地球的規模の深刻な問題なのです。

アクセント

本書の魅力のひとつに文中のところどころに掲載されている写真とその写真に添えられたコメントがあります。

これは読んだ人なら直ちに頷くところであると思います。

どれもこれも「脱力的な面白さ」に満ち溢れています。

なかでも白眉はバッタの大群を食い止めるための自称秘密兵器の二枚でしょう。

私は営団地下鉄内で読書中、思わず吹き出しました。

とんでもない破壊力に満ち溢れたショットです。

爆笑

これを見るためだけに本書を買ってもいいぐらいの乾坤一擲です。

健全な狂気

学者というのはかくも狂気に支配された人種であるのかということが本書を読めばよく理解できます。

しかしながら、その狂気は人を幸福にする健全な狂気というものです。

執念や執着、情熱という言葉を当てはめるとやはり不正確でしょう。

健全な狂気とは常にその側にユーモアが佇んでいます。

恐ろしいまでのバランス感覚により、バッタ博士はいつの日か人類を必ず救うと信じてやみません。

ご活躍を陰ながらお祈り申し上げます。

すばらしい!!

ごんぞう
多くの人に読んでもらいたい良書。特に若い人に

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