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現役人事部長の 雑記blog

3月のライオン、壊れものとしての人生に立ち向かう戦士

投稿日:2016-11-13 更新日:

 

将棋に惹かれる⇒

将棋が好きです。

全くもって弱いですが。

そして、将棋に関する書物は常に気になります。

マンガで言えば、「3月のライオン」と「月下の棋士」。

これ以外にも、実はたくさん将棋マンガがあるようです。

しかしながら、先の二作品しか結果、手に取っていません。

なぜなんだろう。

そこに人生がスパークしているから。

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将棋そのものではなく、将棋を通じて

「3月のライオン」と「月下の棋士」。

この二作ともメジャーすぎて、今更説明の余地もないはずです。

将棋マンガといえば、多くの人が真っ先に思い浮かべる名作でしょう。

前者は現在進行形、後者は完結しています。

特に、「3月のライオン」は今年、アニメにて放映中であり、来年の三月には実写化されるので、これからますます注目を集める作品です。

この二作は、ジャンルとしては、将棋を題材にしていますが、そこに描かれているのは、将棋そのものではもちろんありません。

特に、「3月のライオン」は、ヒューマンドラマとみなしているファンも多いです。

そこにはなにが描かれているのか。

言うまでもなく、人生です。

人生のゆらぎ、揺らぎゆく人生

どちらの作品も不幸な生い立ちの男子が主人公です。

若く幼い彼らは、無力でありながら、神から授かった才能を頼りに、懸命に人生を歩みます。

たった一人で。

しかしながら、選択の余地がなかったゆえに身を投じた世界は、残酷なまでに勝負の世界そのものです。

ひととひととが正面からぶつかり、ココロの中で血や涙が流れます。

盤上の殺戮。何度も何度も。

壊れものとしての人生

「3月のライオン」は、悲しみと笑いと人情が絶妙にブレンドされている素晴らしい作品です。

職人の技が冴えまっくています。とんでもなく上手いです。

人気があるのも当然です。

時々、わたしは、この作品を読むのが辛くなります。

最近出た12巻も、買ってからしばらく、置きっぱなしにしていました。

手が出なかったのです。

いい年をして、読めば心が痛くなるから。情けなくてすいません。

この物語は、そこに描かれている幸せが、何かの拍子に簡単に崩れ去ってしまうというトーンで全編が覆われています。

このトーンは出そうと思って出せるものではないです。稀有です。

ある意味、究極のスリラーであり、サスペンスです。

我々は、時々、崩れ去る予感のようなものに、ふと襟首を掴まれる時があります。

普段は、そのようなことが、まったくないかのように生きているにも関わらず。

この12巻の冒頭近くで、次のような台詞があります。

「ーーこの辺りってさいつも思うんだけど」「ホントきれいだよな あのあかりとか・・・」

「ーーっていうか」「なあ・・・あかりさんて」

「こんな感じだよな」「すっごく」

「きれいで」「こう 静かにゆらゆらしてて・・・」

「ーーでなんだか」「さみしげっていうか・・・」

キラキラ光って   ただゆれているような

切れすぎて、読む手が止まります。

しかしながら、作者は次の瞬間、しっかり笑いを放り込みます。

バランスの勝利ですが、それでも、心に爪痕はしっかりと残ります。

感受性豊かな若い人たちは許容できるのかと心配になります。

棋士でなければならなかった

若き棋士である主人公は、勝つことに全力を傾けますが、人生を賭けてまで勝ちに行こうとは思っていません。

将棋のために人生を棒に振ろうとは考えていません。

それは、「月下の棋士」の主人公も同じです。

勝つことを目指しながら、優しさや弱さに常に手足を縛られます。

それが生きるということだからです。

勝つために、すべてに目を瞑ろうとしません。

勝たなくてもいいやと、優しさや弱さを選び取ろうともしません。

極端に振れ、手打ちをしたり、妥協を選んだりはしません。

その方が、確実に楽になれるにも関わらず。

この避けがたい二律背反や葛藤のただなかで、もがき続けます。

苦しんだ分だけ、すこしばかり強くなります。

だからこそ、この壊れものの人生の物語の主人公たり得るのでしょう。

ゆえに、主人公は棋士でなければならなかったのでしょう。

痛みと向き合うことを職業とした人間でなければならなかったのです。

壊れものというテーマに厚みを加えるためには、作品に若さという不安定さを導入せざるを得ません。

しかしながら、ただナイーブなだけでは、そこに葛藤や矛盾は鮮烈な印象を残さないはずです。

繰り返しになりますが、だからこそ、若さと成熟を同時に成立させるプロフェッショナルとしての勝負師が召喚されねばならなかったのでしょう。

派手な肉弾戦のファイターではなく、静かなる戦士が。

 

これからも毎度胸が痛みますが、この壊れものの人生の物語から、やはり目が離すことができません。

紛れもない傑作です。

 

水たまりの一滴

頼むからハッピーエンドで終わってください。

 

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