ビートルズだけが成し遂げた音の王国実現に挑んだロック界の選ばれし者たち

投稿日:2017-01-09 更新日:

 

ビートルズを夢見て⇒

ビートルズを夢見て、二枚組アルバムの制作に取り憑かれたバンド(ソロ)がわたしの知る限り、過去5組ある。

いすれもロック史に残る才能であり、綺羅星たち。

果たして、彼らが手にしたかったものは何だったのか?

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二枚組のアルバムとは

今ではもう骨董品であり、想像もできないが、その昔、レコードアルバムという表現形式・媒体が存在した。

一枚のレコードに表面・裏面あわせて約46分程度の物理的制限の中で、曲が収められ販売がなされていた。

作品の発表は、通常シングルによるものとアルバムによる形式の二種類であることは現在とほとんど変わらない。

アルバムは早ければ一年に一枚の周期で、だいたい二、三年に一回の頻度で制作発表されていた。

商業的なタイミングが念頭に置かれることも多かったが、原理的には曲ができなければ、いつまでもリリースはされない。

そのような一般的な状況の中で、一度に二枚を同時に発表するという猛者が時折登場する。

圧倒的なクオリティーを叩きつけながら。

二枚組アルバムを出す理由

主な理由は、私の考えでは次の3つに分類される。

1・レコーディングの段階で、才能やアイデアが溢れすぎて一枚に収まりきらなかった場合

2・一定程度の販売が見込める実績ある地位を前提にした商業的拡販行為である場合

3・音の王国を欲望した場合

過去多くのバンドやソロアーティストが1や2を繰り返してきた。

秀作もあれば、駄作もあり、傑作も生まれている。

2は論外であるが、もちろん、限りなく3に近接した1の例もある。

が、それは、方向性の拡大や実験性の追求、奏でることの純粋な喜びの結果、偶然にも近づいただけの話であり、それ以上でも以下でもなかった。

しかしながら、3番にとりつかれたものは数えるほどしかいない。

もしかすると、もしかしなくとも、わたしが知らないだけなのかもしれない。

が、わたしには、次の5つのバンド(ソロアーティスト)しか、どうしても頭に浮かんでこないのだ。

音の王国

二枚組のアルバムという形で音の王国を実現したバンドは、結論からいうと、ビートルズだけである。

通称、「WHITE ALBUM」と呼ばれる二枚組のアルバムがリリースされたのは1968年。

アコースティックからオーケストラまで。

フォークからサイケデリックまで。

ハーモニーから不協和音まで。

あらゆるものが詰め込まれ、不作・駄作はただのひとつもない。

不完全な理解の典型として、統一感がないや一枚にまとめられなかったのかなど、どこに向かって発信されているのか不明であるご意見もよく耳にする。

メンバーが黙殺したように、ここでも問わない。

彼らは彼らのアルバムに統一感や整合性などはなから求めてはいない。

彼らが求めたのは、たったひとつのこと。

音の王国の実現である。

音の王国が目指すのは、すべての音の共存共栄である。

音の王国を築くための、野心、才気、熱情、幸運、実力、実績、地位、その他数多のものが集合したと確信した創造的破壊者だけが、その大事業に手をかける。

順を追って見ることにしましょう。

同時代の雄

以下の三組は、ほぼビートルズと同時代の才能たちである。

このうち、トッド・ラングレンは日本において知名度は低い。

が、その功績については年々評価は増すばかりであり、その逆ではまったくない。

1972年 Something / Anything?

器用なアーティストであるために、多くの演奏をワンマンで行う傾向があった。

そのために、音の広がりにどうしても限界が生じてしまうところがある。

が、独創的なメロディラインはやはり文句のつけようがない。

1972年 Exile on Main Street

ストーンズも当然に試みている。

早すぎた感が否めないが傑作には違いない作品。

その後の可能性の萌芽がそこここに顔を出しており、力強いことこの上ない。

1968年 Physical Graffiti

レッド・ツェッペリンは絶頂期の時期、挑戦を試みた。

大傑作アルバム。

音の多様性は目を見張るばかり。

王国へあと一歩の距離であったと、個人的には思う。

 

次の2つは、いささか時代がくだり、80年代と90年代にそれぞれ一度づつ、試行される。

1987年 Sign O The Times

殿下が伝家の宝刀を抜き、縦横無尽にメッタ斬りにした正真正銘のマスター・ピース。

その容姿から頭から毛嫌いする人も多いが、引き出しの多さは右に出るものがいないと言い切れる。

圧倒的な才能が王国を夢見るも、成功はするりとその手からすり抜けたのだった。

訳は言うまい。

先のトッド・ラングレンと同様、なんでもできる者は、できないことの可能性を決して見ることができない。

1991年 Use Your Illusion 1,2

純然たる二枚組ではないが、同時に発売された実質的には二枚組アルバム。

才能の横溢という視点からは、一見すると音の王国を目指したと言いきれない印象を与えかねない作品。

しかしながら、注意して耳を傾ければ、王国を夢見たことは一目瞭然であろう。

他のバンドと比較すると失礼ながら格下感は否めないが、音は本当の本物。

当時も現在も正当な評価が得られていない、不幸な作品である。

王国成立の条件

王国の成立には、どうあっても、ドラムスのニュアンスが必要十分条件となる。

リズムセクションとしてのドラムスは音の王国の背骨であることは言うまでもないが、それ以上が常に求められる。

今回、「WHITE ALBUM」を聞き直し、あらためて思った。

音色としての打撃音を最大限にカラフル化すること。

その命題を忠実に理解しようとする姿勢が、レッド・ツェッペリンとプリンスには容易に見て取れる。

際立ち方、輪郭の鮮やかさが尋常ではない。

機会があれば、ぜひ彼らのドラムス音を「見」てほしい。

実に、色彩豊かで、妖艶である。

ビートルズが音の王国を実現してから半世紀余り。

今もなお、彼らの王国はまったく色褪せてはいない。

 

水たまりの一滴

WHITE ALBUM、正真正銘の二十世紀の奇跡だ。

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