同一労働同一賃金の中間報告を読んで

投稿日:2016-12-29 更新日:

中間報告発表⇒

同一労働同一賃金問題の中間報告がなされ、あらためて本問題について議論が活発化している。

本日は、中間報告を読んで、あらためて思うところを述べてみます。

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私的に引っかかるところ

中間報告は検討の結果を踏まえ、できるだけわかりやすく記述しようとする姿勢がうかがえます。

よく分かる部分が大半ですが、苦労しているなあと思われる箇所もいくつかあります。

個人的に注目するのは次の二箇所です。

引っかかった箇所その1

「実は、どこまでが「同一の労働」とみなすべきなのか、何が揃えるべき「賃金」なのかと考えていくと、この同一労働同一賃金の考え方あるいは原則を、厳密に定義することはなかなか難しい。」

 

ホンネが垣間見えるだけではなく、集約されています。

ここが同一労働同一賃金を実現するための出発点でありゴールだと思われますが、なかなかどころの騒ぎではなさそうです。

ここは困難を極めるでしょう。

何を持っての定義づけですね。

同一の労働の定義は、当然に、報酬を支払う際の労働の基準とは何かを定めることに他なりません。

これを「労働の成果」とすることが説得性が高いという意見もあります。

ネットではよく見かけます。

一理あると思います。

もちろん、成果の定義化は必須でしょうが、労働の定義よりは難しくはないでしょう。

しかしながら、物差しをわかりやすくするために、労働を労働の成果に一元化することは、人的資源管理上、支障が出てこないのかどうかの検討の必要は大いにありそうですね。

これから考えようとは思いますが、労働の成果に特化することは、労働を多面的・複合的に捉えることをある意味放棄することなので、評価の段階における従業員の納得性をどの程度維持できるのかが、いまいち見えてきません。

どうも、個人的にはピンときません。

引っかかった箇所その2

「このような取り組みを通じて、正規・非正規という呼称格差を改め、すべて様々な雇用期間や労働時間の社員という考え方に整理されていく必要がある。」

 

方向性がほどよく透けている文章ですね。

文意の真意が的確には掴みづらいところはありますが、元々そのように不明瞭にしているのでしょうか。

わたしなりに「翻訳する」とこうなります。

正規従業員一本化の方向で、企業は最大限努力しなさい。

 

総正規従業員化を推進するためには、ある意味正規従業員の非正規化が前提となります。

つまり、正規従業員に対して、非正規従業員並みに、もしくは現行以上に雇用ならびに雇用解除の条件緩和の必要があるということです。

そこが従来と同様に硬直的であるのならば、企業はコスト防衛的に、非正規従業員一本化の方向で、正規と非正規の垣根を壊しにかかるでしょう。

経営的観点から、政府が上に合わせましょうという流れを企業は下に合わせますという棹さす対応にならざるをえないということです。

正規と非正規の区分を無効化するためには、雇用の流動化の徹底は避けて通れません。

これを無視した議論はすべて机上の空論に過ぎません。

雇用できる数は限られています。

そして、事業継続性の観点からは、良質な労働力をあくまで企業は必要とします。

雇われやすくするためには、解雇しやすくせざるをえない。

出口が詰まっているならば、入り口から入ることはできません。

短絡的な反発や感情的な意見が噴出することが容易に想像できる検討課題ですが、目を背けることはできないでしょう。

それが流動化徹底の意味するところです。

国は、労働法制の全面的な見直しに早晩踏み込んでいかざるを得ないはずです。

この山が動くとき、これから数年の間に、われわれを取り巻く労働環境は一変します。

働き手にとって、極めてスリリングでシリアスな状況が口を開けて待っているはずです。

 

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同一労働同一賃金の実現によって、どんな労働の未来が待っているのか(まとめ)

 

水たまりの一滴

腕一本の時代は、雇用の不安定性についての配慮が必要です。が、これは紛れもなく各企業ではなく行政の考えるべき課題です。

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