MENU
アーカイブ
プロフィール

味の素「残業ゼロ」改革。質的改善への戦いは続く

  • URLをコピーしました!
タップできる目次

本エントリーからの盗用その他コンテンツ全般に対する不適切な行為が認められたときは、サイトポリシーに従い厳正に対処する場合があります。

全社一丸となった業務改革の全貌を徹底解説

日本経済新聞出版社
\今すぐチェック/
Amazonで探す


味の素の働き方改革を対象にした日本経済新聞の取材結果を1冊にまとめたものです。

本書は、日経電子版「ストーリー」に2019年5月27日から31日まで連載した「残業なし奮闘記」に大幅加筆を行ったものだ。

取材対象として味の素が選ばれた理由は3つあります。

3つの理由

  • 短期間で成果をあげたから
  • 取り組みがユニークだから
  • 取り組み理由が明確であったから

味の素の改革だけがもちろん正解ではありませんが、あなたの会社にとって大いに参考になることと思います。

こんな人にオススメ

  • 労働時間削減を考えている経営者
  • 業務改善を実施したい現場のマネージャー
  • 働き方改革を推進したい人事部門

本書の構成について

本書は全部で8章から構成されています。

  1. モーレツ社員の変心
  2. 義理人情の営業からの脱却
  3. アフター4の居場所
  4. 減らした書類はビル3棟分
  5. 工場も在宅勤務
  6. 成果と課題
  7. 目標撤回の真相ー社長インタビュー
  8. 働き方改革と生産性向上

味の素が目指したゼロベースでの働き方改革

目指した姿とは、

グローバル食品会社トップ10にふさわしく、性別や国籍、価値観にかかわらず多様な人財が活躍できる会社

そのためには、

「残業前提の日本流の働き方」から「定時退社前提のグローバル基準の働き方」へ

コンセプトとしては、

コンセプト

  • 誰でも働ける
  • フレキシブルな時間で働ける
  • 仕事を支える仕組み
  • 辞めない会社
  • フェアでオープン
  • 活発なコミュニケーション
  • はつらつ職場
  • 健康増進、働きやすさ・働きがいの向上
  • 一人ひとりの自律的成長

コンセプトを実現するための方向性として、

方向性

  • どこでもオフィスの拡充
  • 会議改革のさらなる推進
  • コアなしフレックスタイム
  • 自立した働き方確立
  • ダイバーシティ推進(女性・外国人)
  • 生産性向上に向けた業務の効率化、専門性向上
  • 人材育成・評価・登用など人財マネジメント変革

営業現場を洗い直す

働き方改革を推進するうえで最大の難所は営業活動との「折り合い」です。

顧客をないがしろにして、自社都合を振り回すことは絶対にできません。

そのために、

多くの会社で、営業の強固な壁の前に、業務推進者は跳ね返されるパターンとなります。

味の素はあくまで正攻法を貫きます。

まずは、全員に労働実対調査を課し、データの収集・分析を徹底します。

調査項目の大項目は次のようになります。

  • 得意先対応
  • 移動
  • 資料作成
  • 会議・打ち合わせ
  • その他

このうちどれが時間泥棒であったか想像できますか?

ワースト1とワースト2は、

「移動」と「会議」だったそうです。

移動は全労働時間の25%。

会議は、参加時間と資料作りを含めて20%を占めていたそうです。

移動と会議が2大ターゲットだ。この2つを削減しても、対顧客時間は直接減らない。「取引先を置き去りにできない」と反対していた現場も、反論の余地はなかった。

移動と会議にターゲットを絞った業務推進部隊(営業企画部)は、4つの対策を実施します。

  • 移動の工夫
  • 書類処理の簡略化
  • ネット会議システムの導入
  • サテライトオフィスの開設・活用

全管理職とランチミーティング

全社ベースの業務改革は、笛吹けど現場が踊らずが一般的です。

あるいは、当初の効果が時間がたつにつれて薄れていき、形骸化するのがお決まりのパターンとなります。

ゆえに、

味の素では、社長自らが定着の浸透を目的とし、行動で示しました。

社内の全管理職とのランチミーティングの実施です。

気兼ねなく、現状を話してもらうために、働き方改革の推進部門は誰一人同席させなかったそうです。

北海道や九州に勤務する部長や課長も東京まで出張してきてもらう。残業を前提とした働き方を改めるように、トップダウンで繰り返し社内にメッセージを発している。

働き方改革の到達点へ

働き方改革のゴールがどこにあるのかは、働く人の数だけもしかするとあるのかもしれません。

一般的には、

企業価値と従業員の幸福感の向上の実現でしょう。

少なくとも、

総労働時間や残業時間が削減されて終わりではありません。

時間を投下すべき業務にどれだけ適切に時間を投下できるのか。

そのための下準備、環境整備として、総労働時間や残業時間の削減が求められるはずです。

まずは、時間削減の意識を社内に定着させる。

それを前提として、時間内の労働の質をいかに高めるかを従業員一人ひとりが自主的に自律的に考える。

それによって、

企業価値は向上していくことでしょう。

それによって、

働き手は、自らの労働時間をコントロールし、ライフを充実させることが可能となります。

それによって、

仕事に主体的に取り組むことができ、働くことの喜びを一層感じることのできる毎日を送れるはずなのです。

「企業価値の向上」と「従業員の幸福感の向上」

年間総実労働時間を1820時間とした味の素の挑戦はこれからも続きます。

人事関係者としては非常に勉強になった1冊でした。

日本経済新聞出版社
\今すぐチェック/
Amazonで探す
よかったらシェア願います
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

✒︎ この記事を書いた人

人事屋パドーのアバター 人事屋パドー 人事系ブロガー

都内に勤務の労働者。元営業マンの人事部長です。当サイトにて、人事・仕事・就活に関して書いています。あなたの悩み事の解決のヒントになれば幸いです。

タップできる目次