働き方を変えることは、あなたの未来をよりよく変えることであるに違いない
本書は「残業の減らし方」について解説するものではありません。
残業をどうしたら劇的に減らすことができるのかのノウハウやスキルをあなたが求めているのならば、本書はお門違いと言えるでしょう。
そうではなく、
ヤフー株式会社常務執行役員の本間浩輔氏は、本書の中で「企業が勝つため」「社員が幸せになるため」の希望に満ちた働き方改革論を展開されています。
本書を通じて、「時間」や「頑張り」といったインプットではなく、アウトカム(成果)で社員を適正に評価する「正しい成果主義」にもとづいた働き方の試案を提示してみたかったからです。
働き方改革を推進する多くの企業は、ややもすれば残業代を削減するだけの施策に走ってばかりいないでしょうかと、本間さんは問いかけます。
働き方を変えるのですから、働く主体である従業員のひとりひとりが、自律的に考え、行動することが大前提となります。
企業も安直に安易に進めるのではなく、改革を実施するにあたっての自社の目指すべきところが何よりも問われるべきでしょう。
本書には、著者が勤務するヤフーの様々な取り組みが紹介されています。
さまざまな制度や施策を通じて、企業としてありたい姿を実現しようとしています。
「ありたい姿」を実現するためのヤフーの哲学は次のとおりです。
ヤフーの改革の哲学
- 経営者は、長期的な利益につながる戦略を描いてリソースを効率的に分配しつつ、組織の構造改革を進める。
- 人事は、自社に合った働き方改革の先頭に立つとともに成果主義を徹底する。
- マネージャー層は、部下の仕事ぶりをよく把握して管理職としての役割を果たす。
- 一人ひとりの社員は、自立してアウトカムを出すことに専念する。
大いに参考となる他社事例集である本書を通じて、あなた自身の、あなたの会社の「改革」もう一度見つめ直してみませんか?
- 人事関係者
- 経営者
- 働き方を見つめ直したい全ての人
本書の構成について
全部で4章プラス終章から構成されています。
- 「週休三日制」は楽じゃない
- ヤフー流・「幸せな会社」のつくり方
- 部下の「努力」を評価してはいけない時代
- 現場の人事力を磨く
- 三十年後、私たちはどう働くか
第一章では
週休三日制を例に取り上げながら、働き方改革の本質と目的について解説されています。
第二章では、
週休三日制をはじめ、テレワークや新幹線通勤など、導入されている制度や取り組みについて解説されています。
第三章では、
働き方改革が直面する課題が取り上げられています。
第四章では、
改革を成功に導くための条件が検討されています。加えて、経営者・人事担当者・マネージャー・働く人々への著者からの提言がなされます。
終章では、
三十年後の未来の展望について触れられています。人生100年時代の働き方や第一線を退いた後の生き方についても言及されています。
あなたに自律してほしい
私たちがやろうとしている改革とは、基本的に「成果を出してさえいれば自由に働いていて構わない」というものだからです。
自分以外のルールに従って働いてきた人にとって、これほど残酷な宣言もありません。
だって、どうしていいのかわからないから。
自由に働いていいとは、自分のルールに従って働かねばならないと、同義です。
毎度毎度、瞬間瞬間、あなたは自律を突きつけられることになります。
ビジネスパーソンにとって、自律するとはどういうことなのでしょうか?
本間さんは答えます。
「自分の価値観やキャリア哲学に基づいて、時間とお金を能動的にコントロールすること」だと思います。
毎日の仕事に対する自律的な働きかけは、長期的な視点に立った自身のキャリア自律にもおのずとつながっていきます。
キャリアは会社が決めることではありません。
あなた自身が自律的に形成していかなければならないものなのです。