アフターコロナに「働き方格差」時代がやってくる!
本書は、マイクロソフト働き方改革推進チームと業務改善士の沢渡あまね氏のコラボレーションの成果となります。
沢渡氏は言います。
本書は「働き方先進企業」の一つとして、主に日本マイクロソフトの取り組みを取り上げながら、職場で起こっている真実を明らかにするとともに、「新しい働き方」について考察しています。
日本マイクロソフトは、コロナ禍による緊急事態宣言の前に、本社事務所への出社率が2%を切る、完全リモートワークを実現していた危機管理対応に極めて優れた企業です。
彼らは膨大な量のデータ収集や分析を積み重ねた結果、新しい働き方に基づき、適切な事業運営を継続しています。
本書では、膨大な職場データから導き出された「職場の科学」を28の知見として読者のみなさまに提供します。新しい時代に即した「新しい働き方」のヒントになればと考えています。
- リモートワークの実施を考えている経営層
- リモートワークの企画・運営に悩む人事部門
- リモートワークがうまくいかない部署のマネージャー
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本書の構成について
本書は序章と本章の2部構成となります。
- 職場データが導く「理想の働き方」
- データから読み解く「職場の科学」
本章は28の役立つ考え方やヒントから構成されています。
日本マイクロソフトの取り組みの本質
取り組みの本質は次の3つに集約されます。
- 働き方の見える化(ホワイトカラーの働き方の見える化)
- コラボレーションを本気で促す
- 選択肢と多様性を保証する
まずは見える化する
見える化のために、「マイアナリティクス」と「ワークプレイスアナリティクス」という2つの自社システムを使用しています。
自分たちの「行動パターン」「仕事の傾向」をデータとして客観的に見て、改善ポイントを発見していく。そのために「マイアナリティクス」や「ワークプレイスアナリティクス」が機能しています。
データをAIが分析し、個人やチームにタイムリーにフィードバックすることで、行動特性や傾向に対する理解や気づきが促され、改善ポイントの発見へと至るのでしょう。
コラボレーションのちから
コラボレーションを本気で促す
これこそ日本マイクロソフトが企業全体として見出した一つの「勝ちパターン」です。
自らの事業環境を分析した結果、彼らはこの結論に達しました。
たとえば、
付加価値の高い商談は「関わっている人数」より、「部門の垣根を越えたコラボレーション」の方が成功要因として大きくなる傾向があったのです。
コラボレーションの促しのためには、
就業規則、労務管理、時間管理、ICT(情報通信技術)のデザイン、職場環境の整備、教育に至るまで、全てにおいて最適化が目指されなければなりません。
こうした「点ではなく、面で変えていく」姿勢はきわめて重要です。
徹底して、あらゆる「点」を「面」に変えていくことで、より良いコラボレーションが実現していきます。
選択肢を駆使する
日本マイクロソフトの取り組みには、「こうしなければならない」がありません。
企業が求めるものは、
- 質の高い仕事をしてください
- 効率よく働いてください
- 自ら成長してください
というメッセージだけです。
そのために、
企業は「選択肢を保証する」必要性を十分に理解し、その実現に努めようとします。
結果として、それが「質の高い仕事」や「自らの成長」につながるのであれば、どんなやり方でも構わない。その人にとってのベストな選択肢を企業は保証する。
ガイドラインが示されるのではなく、選択肢と多様性が社員の前に提示されます。
「社員一人一人があらゆる選択肢を使って毎日を過ごす。それこそがもっとも生産効率が上がる」、そのような組織としての成功体験を日本マイクロソフトは持っています。
これからの時代のマネジメント
マイクロソフトの取り組みを踏まえつつ、沢渡さんはこれからの時代のマネジメントは「オープン型」に向かっていくべきであると主張します。
「完璧な計画を実行する」進め方より、とにかく素早く判断して、トライアンドエラーを繰り返しながら進めていく。そんな「アジャイル型」の重要性が今、確実に高まっています。
リモートワークをどのようにとらえるのか
リモートワークは福利厚生の一環ではなく、生産性向上の選択肢のひとつである。
このような認識のもと、日本マイクロソフトは企業価値の向上を着実に推し進めています。
目標設定や期待する役割はまったく変わらず、とにかく生産性高く働くための選択肢を保証している。ただそれだけなのだと強調します。
出社によって生産性が上がれば出社すればいいし、リモートワークで生産性が上がるのでればそうすればいい。
このシンプルな原理原則に基づき、選択肢と多様性が保証されているのです。
これからの時代、どの選択肢をチョイスし、結果を出していくのかは、あくまであなた次第なのです。