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副業・兼業の場合の労働時間管理に関する報告書から見える問題点

厚労省の「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会」の報告書が今月公表されました

この検討会は、2018年の夏から過去9回に亘り開催されています。

参考 「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会」の報告書を公表します

厚労省は、今回の報告書を踏まえ、これからも労働政策審議会において、副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方について検討を継続する予定のようです。

今回の検討会報告には、

今後の方向性についての「考えられる選択肢の例示」が整理されています。

簡単に言うと、

パドー
方向性を絞りきれないために、選択可能性を列挙しましたというところでしょうか

報告書のポイント

報告書のポイントは以下の3つとなります。

  1. 健康管理について
  2. 上限規制について
  3. 割増賃金について

繰り返しますが、

容易に結論が出そうにない案件のために、方針の提示ではなく、その方向性について考えられる選択肢の例示にとどめられています。

健康管理について

  • 副業・兼業により通算した労働時間の状況を事業者は把握する必要がある。
  • 副業・兼業により通算した労働時間の状況を事業者は把握する必要がない。但し、労働者が自己申告した場合に限り、現行の健康確保措置の枠内で対応する。

健康管理に対する事業者の責任性は脇に置くことはできません。

本来的には事業者が労働時間状況をきちんと把握する必要がありますが、正確な労働状況の把握には労働者の情報提供・申告が不可欠であるのは言うまでもありません。

しかしながら、

情報はプライバシーに関わってくるために、情報の取り扱いに関する周辺の法整備が必須となります。

これが一筋縄ではいきません。

加えて、事業者はすべての事業者とするのかいなかも定める必要があります。

指針策定における難所中の難所です。

上限規制について

  • 労働者の自己申告を前提として、簡便な通算管理方法を考える。
  • 事業者ごとに上限を定めて、個別に労働時間管理を行なう。

健康管理と同様に、労働者の自分自身での管理態勢の重要度は非常に高くならざるを得ません。

簡便な通算管理は事実上、不可能とは言いませんが、現実的ではないでしょう。

一般的には個社ごとでの管理がコンセンサスを得やすと思います。

割増賃金について

  • 労働者の自己申告を前提として、通算して割増賃金を支払いやすくする支払方法を考える。
  • 各事業者のもとで、法定労働時間を超えた場合にのみ割増賃金の支払いを義務付ける。

通算管理に基づく支払いの場合、現実的には法定労働時間を超えたときに、どの事業者が支払うのか、もしくは案分する場合にどのようなルールに基づき各事業者の負担割合を決定するのかは事実上非常に困難です。

これも、個社ごとでセパレートして管理するほうが納得感が得られやすいと考えます。

実現可能性を模索する

当初から予想された困難をどのようにしてクリアするのかの決定打は見当たりません。

問題を整理した結果、やはりここがポイントとなりますの地点までを粘り強く進めてきた感じを強く受けました。

ここまで持ってきたあとに、現実性と理想形の綱引きをどの程度まで演出するのかが、実りある指針の完成へ大きく影響してくるはずです。

実務担当者の立場で言うと、明瞭なルールがない限り、形骸化の道へ転がり落ちるのは目に見えていますので、「超」現実主義的な指針を希望しています。

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