仕事が楽しめないのは、作業手順は教わっているが、仕事そのものについては教わっていないからなのだ
データコンサルタントの田宮直人氏とウエストバーグ代表の西山悠太朗氏は、「遊び(ゲーム)は楽しいのに、なぜ仕事は楽しくないのか」という疑問を出発点とし、遊び(ゲーム)と仕事の相違を明らかにしながら、仕事の本質に本書を通じて迫ろうとします。
楽しくない理由を彼らはゲームの説明書との比較より、次のように解釈します。
ゲームは説明書を読めば、多くの場合、すぐにプレイでき、楽しむことができます。 説明書の中に、存在するルールや操作方法、求められる操作の意味などがきちんと書かれているからです。 しかしながら、仕事に関しては違います。 業務マニュアルや作業手順書はもちろん存在します。 でも、そこには業務を遂行するための内容のみが記載されているだけで、それだけでは多くの場合、仕事は完結しません。
仕事を完結するためには、もっと多岐にわたる知識を総合的に身に着ける必要が実はあるのです。
それらを習得して、はじめて仕事は完結に導くことができ、仕事を楽しめるようになれるのでしょう。
始めのうちは「作業手順書」に従えば仕事ができていたが、徐々に課題の難易度が上がると太刀打ちできなくなるシーンが仕事にはある。その際に突破口となり得る1つの魔法やアイテムになるべくこの「仕事の説明書」を執筆するに至った。
遊び(ゲーム)の特徴を踏まえながら、遊び(ゲーム)にはあって、仕事にはない3つの違いを次のように整理します。
- ゴールや手段があいまいである
- 失敗が許容されない
- 自由意志が発揮できない
仕事を遊び(ゲーム)のように楽しいと思えるようになるには、これらの3つが改善されることが必要となります。
したがって、
仕事にとって必要な要素
- ゴールや到達手段を明確にすること
- 失敗が許容される環境を作る上げること
- 自由意志を発揮すること
以上のような基本的な考え方に基づき、本書は構成されています。
そんなゲームの説明書のように、仕事を理解し推進するために必要な知識を網羅的に習得可能な1冊になるよう願いを込めて、本書のタイトルを「仕事の説明書」とした。
本書を通じて、作業手順書や操作マニュアルの類はあくまで、仕事の一部分を切り出し説明しているのにすぎないことを理解できたのならば、あなたは仕事がもっと楽しめるようになるはずです。
- いまいち成果の出せていない方
- 仕事のやり方を交通整理したい方
- 部下育成に悩む上司
本書は著者のお二人が立ち上げた「土日出版」から発行されています。自分たちが納得する本づくりを実現するために、会社を作るに至ったそうです。土日出版というユニークな社名には「平日に現場で働いているからこそ、伝えられることがある。土日を執筆に割いてでも、伝えたいことがある」というコンセプトが込められています。熱い思いは紙面の隅々にまで広がっています。
本書の構成について
全部で8章から構成されています。
- 仕事の説明書を作成する
- 仕事の目的は問題解決
- ビジネスというゲームを紐解く
- 数値化・言語化によりビジネスの解像度を上げる
- データからアクションを導出する
- 競合や顧客を意識して戦略を立てる
- 仕事を前に進める
- 仕事を楽しみながら、キャリアアップする
図表が豊富です。加えて、文字もぎっしりです(見づらいというわけでは決してありません)。
水増ししたようなスカスカの類書とは作りこみ方が全く異なります。
仕事の全ては問題解決である
社会人である以上、役職や職域は変化するものである。役職や職域が変化し、目の前の作業に右往左往する日々が続く中、自分の仕事観を覆す考え方がふと湧いてきた。
「仕事の全ては問題解決である」
著者は、自分の携わってきた仕事を振り返り、ある共通項があったことに気づきます。
「足りないものを補うこと」
足りないという状態を補う、すなわち「問題」を補う、
つまり「解決する」ことが、仕事であるという考えに至ります。
ゆえに、
仕事ができるようになるには、
仕事が楽しくなるためには、「問題解決力」が不可欠となるのです。
学ぶべきことは「問題解決力」にほかなりません。
足りないものを補うことができるために、本書を手にっとってみてください。
問題解決力を身に着けたいのであれば、土日限定ではなく、エブリデイ、ページをめくるべきなのでしょう。