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「陽はまた昇る」情熱と冷静の間の成功

サラリーマンを超えたサラリーマンがかつていた

心にしみました。

組織の壁で悪戦苦闘するサラリーマンの応援歌のような映画でした。

以下、内容に言及しますので予めご了承ください。

いわゆるビデオ戦争

この映画はプロジェクトXでも紹介された有名な実話をベースに制作されています。

私は当番組の熱心な視聴者ではなかったので見たことがありません。

日本ビクター横浜工場VTR事業部のVHS開発が舞台です。

家庭用ホームビデオをどの家電メーカーが制するのか。

その熱き戦いの中、情熱の火を最後まで消すことのなかったサラリーマンの物語です。

情熱と冷静

お荷物事業部に左遷同然で着任する事業部長の加賀谷静男(西田敏行)。

いずれ本社に異動予定であるエリート次長の大久保(渡辺謙)。

この二人を中心に物語は展開します。

動と静。

火と水。

情熱と冷静。

立て直しを図る事業部長の情熱がとんでもない偉業を達成する推進力です。

その推進力に翻弄されながら次長はしっかりと適切にサポートに徹します。

事業部長の熱は一見すると博愛主義的な家族主義的な思いに裏打ちされているかのようです。

が、彼は事業部の存続という大命題のために淡々とやるべきことを行います。

冷たい熱になることを辞しません。

研究者に営業活動を強いるところなどがその典型でしょう。

ただの温情主義とは一線を画する態度を徹底します。

次長の大久保はサラリーマン生活を事なかれ主義、減点主義を前提に考えるビジネスマシーンです。

が、事業部長の情熱に触れ、少しづつ考えが変容していきます。

冷静が時として沸騰することもあります。

相談役に直訴しろ

通産省指導のもと、家庭用VTRの規格統一がソニーのベータマックスに決まろうとしているとき、加賀屋と大久保は自分たちの作り上げたものが消費者のニーズをより満たしているとの信念に基づき最後まで抗います。

どうにも煮詰まってしまい、松下電器がソニーの規格を採用するかどうかで大勢が決するその瀬戸際に、大久保は背中を押します。

今から大阪に向かい、朝一で松下の相談役松下幸之助(仲代達矢)さんに直訴しましょう。

大胆な提案です。

加賀屋は揺れます。

大久保は自分が運転するからと譲りません。

そうして、彼らは夜を走ります。

夜明けを求めて。

相談役に直訴し、現物を見てもらうことがきっかけとなり、ビクターの規格を松下は採用することに決め、VHSが規格統一として選ばれます。

行動が善

この大阪に向かう車中でのふたりのやりとりが、胸に来ます。

会社勤めを長くした方ならだれもが考えさせられる、また共感できるやりとりがなされます。

できれば、ご自身の目で耳で確かめてみてください。

この映画から学ぶべきことはたくさんあります。

が、あらためて思ったのは行動しないとなにひとつ前に進めないというビジネスの基本でした。

相談役に会いに行くことを実際はどちらが提案したのかはそれほど興味はありません。

この映画において、冷静を具現する次長が情熱を代表する事業部長の背中を押したことに意味があるはずです。

そこには明確に演出の意図が読み取れます。

仕事とは多くの人間の思いで出来上がっているものである、と。

仮に事業部長が相談役に会いに行こうと初めに言い出したのなら、このシーンは凡庸極まりない構図になりはてていたことでしょう。

ラストシーン

奥さんの病気のために退職を決意し、家族とともに工場に一度来ていただけませんかという次長の誘いを受け、工場を訪れるラストシーンは、ぐっときます。

ベタですが、わたしは好きです。

言わぬが花なので、ぜひご覧になってください。

素晴らしいラストです。

見終わって、ああ良かったなと思える映画は、紛れもなく一級品です。

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