世界激変!トヨタの勝ち残り戦略
経済・経営ジャーナリストの桑原晃弥氏は言います。
私たちは今、危機を迎え撃ち、常に変化し続けることで成長してきたトヨタのやり方考え方、行動の仕方を知ることが大切なのではないでしょうか。
世界を襲ったコロナウイルスの感染拡大により、多くの企業は危機管理の重要性をいやというほど思い知りました。
このような時代だからこそ、健全な危機意識を持ち続け、常に変わることで企業持続性を堅持してきたトヨタに学ぶことは決して少なくないはずです。
過去に何度も訪れた危機にあっては、「危機をチャンス」ととらえることで自らを変え、より強くなってきました。
- 現在の働き方に納得のいかない方
- 危機意識を強く持っているマネージャー
- 何よりも変革を求める経営層
本書の構成について
本書は全部で8つのパートから構成されています。
- トヨタはなぜ迅速に新しい働き方への移行を決めたのか
- トヨタの描く未来
- 新しい働き方への移行には「ムダどり」が欠かせない
- 新しい働き方は「目的」ではなく「手段」と考える
- 新しい働き方で見るべきは「汗」でも「時間」でもなく「仕事の進み方」
- 新しい働き方で求められる「考える力」「マネジメントする力」「改善する力」
- 新しい時代のチームワークはこう築く
- 危機をチャンスに。新しい時代を勝ち残るために
トヨタ式とは
著者は次のように解説します。
- 「人間の知恵」の上に
- 「自動化」と
- 「ジャスト・イン・タイム」の二本の柱が立っている。
トヨタ生産方式というのは、日々の仕事を通して働く人たちが、「知恵を出す」ことを学び、その知恵によって日々改善を行っていくことなのです。
ムダとは
次のように定義されています。
付加価値を高めない、いろいろな現象や結果
生産現場の作業は次の3つに大別されます。
ムダ
作業に何らの必要性がなく、原価だけを上げる動作です。すぐに省いていく必要があり、改善はまずここから進めていくことになります。
付随作業
付加価値の付かない作業。本来はムダと言えますが、現在の作業条件下ではやらなければならないものです。たとえば、離れた場所にある部品を取りに行く、部品の包装を解くといった作業が該当します。
正味作業
付加価値を高める作業。作業に占める正味作業の比率を、いかにして向上させるかが「改善」のポイントになります。
作業者本人がどれほど忙しく働いているつもりでも、正味作業以外はただの「動き」であり、「働き」と呼ぶことはできません。
生産現場の7つのムダ
- 不良・手直しのムダ
- つくりすぎのムダ
- 加工そのもののムダ
- 運搬のムダ
- 在庫のムダ
- 動作のムダ
- 手持ちのムダ
事務職場の7つのムダ
- 根回しのムダ
- 会議のムダ
- 資料のムダ
- 調整のムダ
- 上司のプライドのムダ
- マンネリのムダ
- ごっこのムダ
「サラリーマンごっこ」「仲よしごっこ」をやめ、自立した社員となることが求められます。
3年何も変えなければ会社は潰れる
これは、トヨタ式の考え方の底に流れている思想です。
成功体験にしがみついていると停滞や後退を余儀なくされます。
時代は変化し、ライバルは時々刻々と進化しています。
「今日も何もなくてよかったね」ではなく、「今日も変化があってよかったね」と考えることこそが、人や企業を進化させ成長させることになるのです。
危機に直面したときに、
より大きな危機としてしまうのか、あるいは、それをチャンスに変えてしまうのか。
企業の底力とともに、あなた自身の地力も試される時代の真っただ中に、あなたは生きているのです。
問題さえ解決してしまえば、変化は新たなチャンスをもたらしてくれるのです。