職場の若者にはなぜこれまでの常識が通用しないのだろう?
ツナグ働き方研究所所長の平賀充記氏は、本書を「扱いにくい職場の若者」に悩むあなたのために書いたと言います。
30年以上にわたり「職場の若者」を見続けてきた経験を活かして、正規・非正規や性別、国籍などの枠組みにとらわれない働き方の実現に向けて、リアルな職場の現状を調査し、精力的に発表を続けておられます。
本書の特色は、
特色「職場の若者」にフォーカスして現場目線で若者の「なぜ?」に迫っているところにあります。
平賀さんは本書を上梓した目的を次のように語っています。
この本は、「若者が理解できない」というオトナと「オトナはどうせ理解してくれない」という若者。双方をつなぐ架け橋になるものだと信じています。
職場における不幸で不毛なすれ違いを避けたいオトナにとっても、若者にとっても、どちらにも大変示唆に富む内容であると思います。
- 若者が理解できない管理職
- 上司や先輩の考えに納得がいかない若者
- 頭の痛い人事
本書の構成について
全部で5章から構成されています。
- 退職、休職、バイトテロ。若者、取り扱注意
- オトナVS若者。世代間ギャップ2.0
- 「SNS村社会」から若者のナゾを解く
- オトナは若者とどう向き合うべきか
- 令和における職場はプラットフォーム化する
ロジカルなビジネス本でもなく、
解決策だらけのノウハウ本でもなく、
今どきの若者にできる限り接近し、彼らへのシンパシーを感じられる仕立てにしたと、著者は言います。
誰よりも自分がいちばん、若者に再び共感したかったのかもしれません。
20のキーワード
上司を振り回す若者を理解するために20のキーワードを提示しています。
たった20のキーワード。これをいくつか知っておくだけで、若者マネジメントはグッと楽になります。
「SNSという村社会の住人」である若者の特性をまずは5つに分類します。
5つの特性
- イミ漬け
- 時間価値
- ヨコ社会
- 過剰忖度
- 相対的自意識
それぞれのキーワードは次の通りとなります。
イミ漬け(意味の追求)
- モクテキ原理主義
- 福業
- コスパNO.1
時間価値(ムダの排除)
- タイムパフォーマンス
- 考えるな!ググれ!
- 石の上にも3分
- りょ族
ヨコ社会(フラットな人間関係)
- マウンティング過敏
- 1DAYグルーピング
- プロジェクト型
- コトミュニティ
過剰忖度(炎上の回避)
- いいね!社交界
- セルフツッコミディフェンス
- マイルディング
- カモフラージュ癖
相対的自意識(他人との比較)
- 被害妄想GPS
- プチバズる
- 多キャラもの
- 職場のカマチョさん
- ムリヤリリア充
つまり、今どきの若者とは、
「ヨコにつながる仲間コミュニティ」を基盤に、「バリバリ目立つのは嫌だけど認められたい」葛藤を抱え、「意味や目的のないムダな仕事はしたくない」こだわりをもって、生きているのです。
より詳しく内容を知りたい方は本書に直接あたってください。
若者はあなたの未来形である
若者が志向する、組織の枠にとらわれない働き方に対して、若者だけのこだわりに過ぎないのだとは、もちろん言い切れないはずです。
世の中のトレンドがこのようなプロジェクト型の働き方に傾きつつあります。
鋭敏な感性を持つ若者たちはその流れに、上司や先輩よりも少しばかり早く直感的に気付いているのでしょう。
彼らは純粋に、いい仕事をして、属する企業に貢献したいと考えていますが、
ひとつの企業に縛られて、価値創造を実現したいとは思っていないだけなのです。
これから先、このような労働価値観が主流となるのならば、
令和の職場は、そんなプラットフォームのような構造になっていくのでしょう。同時に、人材を抱え込むのではなく、オープンソースとして捉える未来がやってくるのでしょう。
お気づきの通り、これは政府が奨励する働き方改革の目指すべきひとつの終着点です。
複業の時代。すなわち、副業・兼業の全面展開、フリーランスの全面肯定。
若い感性は、誰に言われるともなく、自らの行動原理に従い、時代の行く末にライドオンします。
若者を異星人として扱うのではなく、自分たちの未来形として接しながら、自分らしく働く働き方をオールドファッションの人たちは模索する自覚をもっともっと持つべきでなのしょう。
あなたは、あなたの未来といっしょに働いているのです。