もしかしてプロセス改善をあきらめていませんか?
あなたは普段から、なんとか仕事を早く終わらせたいと思っていませんか?
できるだけ早く毎日定時に帰りたいと思っていませんか?
本書はシリコンバレーで極めて有効性の高いスタートアップにおけるプロセス改善の解説本です。
もしかすると起業家ではないわれわれの日常業務にはあまり参考にならないかもしれません。
けれども「スピードは正義なんだ」ということはよくわかりました。
このことを知ることができただけでもお金を払って読んだ価値はあったと思います。
特にITなんて関係ないやと思っている人には刺激的です。
スタートアップとは
本書では次のように定義づけています。
「スタートアップとは、新しいイノベーションやビジネスモデルをもとに、急速な成長とイグジット(株式公開や売却など)をめざして立ち上げられた組織を言う」世の中でよく聞くベンチャーと同じようなものだと思いますが、もっと足が早そうです。
タイトルである「スプリント」の意味について次のように説明しています。
スプリントとは、著者の一人ジェイク・ナップ氏がグーグルで開発し、のちにGV(旧グーグル・ベンチャーズ)にて、スタートアップ向けに改良を加えたプロセスだ。
スプリントとは、たった5日間で本当に重要な問題を見きわめ、それに確実に答えを出す、迅速な学習と検証のプロセスである。
簡単に言うと、合宿型のブレインストーミングというところでしょうか。製品やサービス開発を超短期間にひねり出すのに有効性の高いプロセスのようです。
とにかく5日間で結果を出すのだ
とにもかくにも、たったの5日間で結論を出すことを目指します。
そのためには、
スプリントチームは月曜日から木曜日の午前10時から17時まで、同じ部屋で過ごさなくてはならない。これはあたり前だが重要なことだ。金曜日のテストは少し早い午前9時から始める。
怒涛の5日間であるのは想像に難くありません。
なぜ、5日間という短い期間なのでしょうか。
スタートアップにとっては、スピードこそが命であり、武器である。難しい問題に短期間で解決策を出し、ブレイクスルーを果たすことができれば、大きなアドバンテージになる。
まるで特許や新薬開発、ノーベル賞を目指した研究競争のようです。
スプリントとはそんなスタートアップにとって、超短期間で一番重要なことを見きわめ、いつかではなく、「いま」答えを出す手段になる。
最小の努力で最大の成果を
スプリントは、製品・サービスの開発のためだけのものではない。仕事に対する姿勢や考え方をー一番大事なことに集中して、最小限の時間で最大限の成果を出す方法論を教えてくれるプロセスなのである。
この考え方というか思想には見覚えがあります。
「マルチタスク」ではなく「シングルタスク」が絶大な効果をもたらすという考え方です。
時代はますますあなたに「もっと早く、もっと多く」を求めています。
これはある意味、100mダッシュの全力疾走で42・195Kmのマラソンを完走せよと命じられているようなもの。
そうなんですが、泣き言を言っても始まらない時代。
走り続けるためにどうすればいいのかのヒントが本書にはあります。