VUCAの時代は、解く力よりも問題を見つける力!
ベストセラー「地頭力を鍛える」の著者でもある細谷功氏は言います。
不確実性が高い時代には「与えられた問題を上手に解く」のではなく、問題が与えられたら「そもそもこれは解くべき問題なのか?」と疑ってかかり、「解くべき問題はこちらである」と逆提案する能力が重要です。本書はそのためのヒントを提供することを達成目標とします。
本書は細谷さんがこれまで取組んできた「思考法」「ものの考え方」「発想法」に関する内容について、「問題発見」という切り口でまとめたものです。
本書によってより多くの方々が変革期における問題発見力を身に付け、「変革後」を描く力を手にすることができれば本書の目的は達成されたことになるでしょう。
- 問題設定ができない方
- 発想法を身に着けたい方
- 問題を発見する力を磨きたい方
関連図書
本書の構成について
本書は全部で6章から構成されています。
- なぜ問題発見力が問われる時代になったのか
- 問題発見は常識を疑うことから始まる
- 問題発見とは新しい「変数」を考えること
- 「ギャップ」に問題発見のヒントあり
- 「具体と抽象」を駆使して自分の頭で考える
- 問題発見力を鍛えるために今後やるべきこと
問題発見と問題解決の思考回路の違い
従来の問題解決型の思考回路を正反対に転換しないと問題発見はできないに違いありません。
皆さんの身の回りで、「与えられた問題を解く」こと以上に「自分で問題を発見する」ことが重要になったことはないでしょうか?
180度違います!
問題の3つの領域
私たちの身の回りの問題は次の3つの領域に分かれます。
- 問題があり、答えもある
- 問題があるが、答えはない
- 問題も答えもない
具体的に言うと、
1は、試験勉強の領域です。努力すればそれなりの結果が得られる世界です。
2は、普段仕事をしている人の大部分が活動する領域です。いわゆる問題解決の対象となる領域です。
3は、本書がテーマとして扱っているこれからの時代にますます重要となる領域となります。
AIによる代替がきかない「問題も答えもない」未知の領域の重要性が、VUCAの時代には上がってきている
問題発見の第一歩は「知らないと知っていること」
知の領域は次の3つの領域に分かれます。
- 既知(知っている)
- 既知の未知(知らないと知っている)
- 未知の未知(知らないことを知らない)
自分の知らない世界(事柄)があると意識している人だけが、知るという世界のスタートラインに立てるのでしょう。
世界は、「知らないことを知らない」であふれかえっているにもかかわらず、意識的に向き合わなければ、知らないままで終わってしまうのです。
だからこそ、アンテナを張る必要があります。
「未知の未知」を意識している人は、自分の理解できないものを見るとそこで思考回路が起動して、「何か自分に見えていないことがあるのではないか?」と疑って新たな問題を見つけようというモードに入ります。
知らないことが世の中には山ほどあるという意識を持つことが、問題発見の第一歩となるのです。
問題解決と問題発見では正反対の思考回路を使う
世の中の変化が小さいときは、多数派である常識人が問題解決していればうまくいった。ところが、問題解決が得意なAIが進化したVUCAの時代はそうはいかなくなる
問題解決と問題発見の比較を明らかにするために、それぞれが得意な人という形で以下に整理します。
ここで言う、非常識人、常識人とは次の定義に従います。
問題発見力をあげるためには、能動性がカギであるはずです