これまで常識だと思われていたことが逆に非常識になる時代がやってくる
サイボウズ副社長の山田理氏は言います。
「自分はいったい何者なのか」「どんな人生を歩んでいくのか」と不安に思っている若いみなさんに、「新しい時代の歩き方」として、なにかを伝えることができればいいなと思っています。
若者の力になりたいと書き上げられた本書には、仕事やキャリアの悩みに対する詳細で具体的な「解決法」は書かれてはいません。
そうではなく、ここに記されているのは、「もっと根本的な考え方」に他なりません。
そのような考え方の代表に「常識」があげられるでしょう。
上司や先輩が「常識」であると断定し、推奨してきたひとつの考え方がちっとも「常識」でない時代にあなたは生きています。
今まで常識だと思われ、一定の価値を認められていたことが、これから先、逆に非常識になって、邪魔になってしまう時代をあなたは泳ぎ切らねばならないのです。
でも僕は、「できないこと」ではなく、「できること」をベースに自分の仕事を継続していくのが、これからの常識になると思っています。
あなたは、もっと直感的に、「今の感覚」に従った方がいいと、山田さんは推奨します。
これからの常識を新しくつくっていけばいいんですよ。
なぜなら、
その方が、自身に正直で、自分も周りの人たちも幸せな働き方に近づくことができるからです。
僕がこの本で伝えたいのは、幸せに働いていくための、ベースとなる考え方なのです。
ベースとなるのは次の3つの考え方であると著者は言います。
- 「できる」X「やるべき」から始める(「やりたい」は後からついてくる)
- 自分の幸せをゴールに選択する
- 質問責任を持つ
これが、これからの社会人、つまりカイシャインの心得となります。
- 新入社員
- 就活生
- キャリア形成に悩む若手
本書の構成について
本書は全部で5つのパートから構成されています。
- 「最近の若者はすぐ辞める」って言われます。やっぱり3年は続けるべきですか?
- 私はなにを目標にすればいいでしょうか?
- この会社、この仕事でいいのでしょうか?
- もっと楽しく働きたい!でもこんな問題に困っています・・・。
- そもそも、働くことの根本的な意味とは?
幸せについてもっと考えてみよう
「なんのために働いていますか?」という質問にあなたはどのように答えるでしょうか。
山田さんの答えはシンプルです。
僕が思うに、人間が働く究極的な目的は「生きるため」です。
生きていくことができるのであれば、遊んでいてもいいし、会社に入る必要もないと言い切ります。
人生の目的が、幸せになることであるのだから、このような発想(信念)が自ずと生まれてくるのでしょう。
人は幸せになるために、生きているのです(あるいは、生まれてきたはずです)。
ゆえに、次のような結論に帰着します。
働くというのは、幸せになるための一つの手段でしかないんです。
仕事で悩んだり、働き方に迷っているあなたはこの「思想」を思い出すべきです。
思い出した上で、悩みを解決する方法や手段を考える場合に次のように自らに問いかけてみましょう。
「これは自分の幸せにつながっている?」、と。
これからの働き方に影響を与える10の変化とは
働き方を考えるときに重要な10の変化とは次の通りとなります。
- BIからAIへ
- 所有から共有へ
- 個人戦からチーム戦へ
- 忠誠心から距離感へ
- 「覚える」から「検索する」へ
- 常識から非常識へ
- 「考える」から「行動する」へ
- 同調から個性へ
- ホワイト企業から透明企業へ
- 平等から幸福へ
BIからAIへ
ビフォアーインターネットとアフターインターネットでは、情報の価値が大きく変わってきます。
情報をどう集めるかではなく、どう使うかがポイントとなるのです。
所有から共有へ
情報を握ることの重要性が相対的に低くなり、「伝達」よりも「共有」することの手段がこれからますます大事になってきます。
個人戦からチーム戦へ
情報を独占し、個人で強くなることよりも、同じ目的を持つ者同士で情報共有し、チームとして強くなることを目指すことが効率的となります。
忠誠心から距離感へ
価値観の多様化に柔軟に対応する必要性がますます問われます。
チームのメンバーに忠誠心を求めるのではなく、各自の距離感を尊重することが大事なのです。
「覚える」から「検索する」へ
これから大切なスキルとは、上手に検索し、自分が必要な情報を持っている人にいかにアクセスできるかとなります。
常識から非常識へ
時代や環境が急変する今日、過去の常識に捉われることは最も危険な行為のひとつに違いありません。
「考える」から「行動する」へ
成功の確率をあげるためには、行動によって出会う成功や失敗の経験から学び取り、次にどう進むのかを決めていく、トライアンドエラーを繰り返す必要があります。
同調から個性へ
いかに人と同じではなく、人と違うのかを意識しながら、自分の個性を磨いていかなければなりません。
ホワイト企業から透明企業へ
自分たちがどのような会社であるのかを隠さない透明性も持った企業がこれからの時代、より強く求められてくるはずでしょう。
平等から幸福へ
ひとりひとりの好みや個性を知ることが簡単になった現代においては、その趣味嗜好を理解した上で、全員の幸せを追求することが可能となってきています。
喜怒哀楽
みなさんには「喜怒哀楽」を大切にして生きてほしいと思います。
「喜び」は、目的となり、
「怒り」は、活力となり、
「哀しみ」は、懐を深くし、
「楽しみ」は、人生となる。
怒りや哀しみを無下に遠ざけるのではなく、それらもスパイスとし、ばねやアクセントとする「胆力」が人生には不可欠であるはずです。
日々、認識し、表現して、受け入れ、咀嚼することにより、人生は一層「おもむき」あるものとなるのでしょう。
喜怒哀楽を大切にするとは、毎日の何気ない出来事に心を配るということです。
そのような丁寧な生き方は、やがて毎日の丁寧な仕事に繋がっていき、あなたのキャリアをより滋味あふれたものにするに違いありません。