入社時で3年目社員レベルへ、育てながら採用する方法とは
本書の冒頭で人事コンサルタントの近藤悦康氏は断言します。
会社を成長させる、最高の戦略が「新卒採用」である
本書のユニークネスは、即戦力は中途採用という固定観念に揺さぶりをかけた点にあると言えます。
私が最もみなさんにお伝えしたい新常識が、「新卒採用で、即戦力人材を採用できる」ということなのです。
本書は、新卒採用で苦戦している中小企業経営者(担当者)にこそ読んでほしい内容となっています。
これから、私が人事コンサルタントとして17年間、中小企業の経営者として5年間事業を継続してきた経験から、即戦力人材を新卒採用で獲得するために必要な考え方とノウハウをお伝えしていきます。
- 中小企業の経営者
- 中小企業の採用担当者
- 新しいことに取り組みたい人事
本書の構成について
本書は、全部で8章から構成されています。
- 中小企業こそ「新卒」を採用しなさい
- 即戦力になる素材の見極め方
- 即戦力になる素材の調達の極意
- 即戦力になる素材の調理法
- 即戦力人材が定着する職場環境のつくり方
- 即戦力人材を世の中に増やすアプローチ方法
- 即戦力人材が既存社員を成長させる
- 即戦力人材を採用するための5つの法則
新卒社員が即戦力で活躍している会社の共通点
次の5つとなります。
- 早期マーケティング
- 長期インターンシップ
- 内定期間の育成プログラム
- OJTとOFF-JT
- 年功序列ではない人事制度
言い換えるならば、
- 早めに接触機会を持って、目星をつけ、
- 職場の雰囲気や仕事内容をじっくり体験してもらい、
- 成長実感を感じさせる育成プログラムを施し、
- 現場に慣らすことで不安を払しょくさせて、
- 定着の度合いを高めていく制度運用を怠らない。
丁寧にひとりひとりと向き合う姿勢を貫くことがポイント。
行動特性をつかむことのできる選抜方法とは
面接の場でのアピールと実際の行動が一致しているかどうかは選考において非常に大事なポイントとなります。
言行一致を見定めるために、次の5つのポイントから学生を吟味しましょう。
- 課題を与える
- 同行させる
- 食事を一緒にとる
- 日報を書かせる
- 自分を語らせる
これらを長期インターンシップの最中にやってみることをおすすめします。
特に、
食事を一緒にとると様々なことがわかります。
- 気遣い
- 観察力
- マナー
- 社交性
- コミュニケーション力
本当によくわかります。
即戦力人材を採用するための5つの法則
新卒採用を成功に導く5つの法則は以下の通りとなります。
- 人にあわせた基準ではなく、理想の基準に合う人を採用する
- ハードな課題をクリアしないと入社できないようにする
- 内定期間中の育成プランを明確にし、経験値を積み上げる
- 新卒を即戦力にするのは当たり前、という文化を創造する
- 採用チームをスカウトチームにする
人にあわせた基準ではなく、理想の基準に合う人を採用する
優秀だから採用するではなく、必要だから採用するというスタンスを徹底することです。
会社の現在、または将来にとって、どのような期待役割を果たせる人材が必要なのかを明確に定義しておく必要があります。
新卒採用は、数合わせの「補填」ではなく、組織を強化するための「補強」なのです。
ハードな課題をクリアしないと入社できないようにする
ハードな課題を課す理由とは次の4点となります。
- 簡単な選考で得た内定ほど、簡単に辞退されてしまうため
- 選考段階から、即戦力人材の育成は始まっているため
- ハードな課題の方が選考そのものも適切にできるため
- 離職防止につながるため
適切な見極めのためには、課題自体が優しすぎてしまうと、学生の能力を測り損ねてしまいます。
内定期間中と入社後のギャップが大きいほど、辞める確率が高まります。スムーズな移行を実現するためには、内定期間中は助走期間とし、ハードルの高さを少しばかり上げておく必要があるでしょう。
内定期間中の育成プランを明確にし、経験値を積み上げる
入社時点で即戦力性を求めるのならば、計画的な育成プランは不可欠です。
どのような仕事をしてほしいのか、そのためにはどのような能力を鍛える必要があるのかを考えておかなければなりません。
リアルな実地体験をできるだけ増やすことで、しっかりとした助走ができ、入社前に「社会人生活」に馴染むことができます。
新卒を即戦力にするのは当たり前、という文化を創造する
受け入れ側の気持ちがきちんと整っていなければ、新入社員がどれほど意欲的であっても、早晩しぼんでしまうでしょう。
だからこそ、明確なトップメッセージは不可欠です。
必ず実行できるという信念のもと、即戦力化の文化を醸成していきましょう。
採用チームをスカウトチームにする
採用チームに必要なのは、プロ野球のスカウトのような考え方です。
特に重要なのが次の2点となります。
- 大学1・2年生どころか、中学生や高校生も視野に入れる「超青田買い」という発想
- 気になる人材がいたら、直接会いに行く攻めの姿勢
固定観念に捉われないで、積極的・能動的にアプローチするチームを作り上げなければならないのです。
採用の多様化の中で
新卒一括採用の形が崩れつつある現在、採用担当者は採用活動手法の抜本的な見直しを迫られています。
新卒採用と中途採用のボーダレス化が進む流れは加速する一方です。
だからこそ、
本書の「新卒を即戦力化する」という考え方は非常に理にかなっていると言えます。
しかしながら、
本書にあるようなスタンスで強烈に即戦力化の旗を掲げている会社はそんなに多くないはずです。
けれども、
その思想(スタンス)はとても魅力的であり、応用可能であるに違いありません。
「採用活動は教育プロセスである」という思想はあなたにもたくさんの気づきを与えてくれることと思います。