見えているのかいないのか?
組織の規模や形態にもよりますが、組織の長の役目を担う人間に不可欠なものは何でしょうかと問われたのならば、あなたはどう答えるでしょうか。
価値観や経験によって答えは、千差万別であるかもしれません。
一般的には、強力なリーダーシップ、断固たる決断力をあげる場合が多いのではないでしょうか。
私ならば、次の2つをあげます。
- 見えないものが見える力
- 遠くを見る力
いずれも、見る力、すなわちビジョンや想像力に関する事柄です。
見えないものが見える力
職場には見えないものがたくさんあります。
働く人たちの考えや気持ち、言い換えると信条や感情、心理です。
言葉となって、口に出されたり、文章化される場合もありますが、大抵の場合は明確な形を取らないので、はっきりとは見えません(分かりません)。
しかしながら、確実に存在するものです。
しかも、それを見過ごしたり見逃してしまうと、組織の運営や成果に大きな影響を及ぼすものです。
見えないものが見えるためには、対象に積極的に働きかけ、さまざまなことを想像するしかありません。
それを繰り返すことにより、見えないものが見えてきます。
これとは別に、見えているものの背後にも見えないものは隠れています。
例えば、データ(数字)の後ろ側です。
データは目に見えていますが、その背景や根本については数字は何も語ってくれません。
何かを軸にしたり、比較することで、見えないものの背後がおぼろげながらに掴めることでしょう。
見えているものだけが真実であり、それ自体に囚われている人は、もしかすると何も見ていないのかもしれないのです。
遠くを見る力
目の前の成果にばかり集中する人がいます。
横並び意識が強くて、周りの人間の振る舞いや他部署の出方がやたら気になる人もいます。
出世に拘泥し、上ばかり見ている人もいるでしょう。
組織の上に立つ人間に求められるのは、どれだけ遠くを見ているかであると言えます。
何かを検討したり、何かを生み出さねばならない時に、本質を外した議論は全て無意味です。
組織運営における「本質」とは「目的」と「到達点」に他なりません。
どこを目指しているのか、どこに行きたいのかが問われているとき、一番遠くまで見渡している人が最も根底的に考えていることでしょう。
ゆえに、上に立っているのならば、メンバーの誰よりも遠くを見ていなければならないのです。
見えるということ
見るとは、洞察です。
洞察とは、見えているものだけが全てではないという認識から出発するものです。
あなたが、組織の長を望むのならば、次の2つの態度を心がけましょう。
- 見えないものを見る!
- 遠くを見ろ!
見えている景色がきっと、違ってくるはずです。