組織の構築から人材の選抜・評価・処遇まで
本書の執筆陣のひとりである野村総合研究所の内藤琢磨氏は言います。
本書は、デジタル時代を迎え、日本企業の立ち向かうべき、人事・人材マネジメントの変革を先進企業の取り組み事例を交えながら紹介をしていく。
事例としては、サイバーエージェント・コニカミノルタ・大日本印刷などが紹介されています。
日本人材型マネジメントモデルを維持してきた日本企業が、今後デジタル化を進める上でどのように人事・人材マネジメントモデル変革を進めていくのかを、コンサルティングの経験も交えて示していきたい。
デジタル化はビジネスモデルの破壊的な変化をもたらすだけではなく、従来の仕事のやり方、つまり業務プロセスそれ自体にも劇的な変化を迫るものです。
デジタル化による変化を主導するリーダー人材の育成・確保が不可欠であるという意識のもとでの企業経営・活動が、今後ますます求められていくはずです
- 企業経営者
- 事業部長
- 人事部
本書の構成について
本書は全部で5章から構成されています。
- デジタル化の現状
- デジタル人材処遇の勘所
- デジタルトランスフォーメーションを実現する組織・人材戦略
- デジタルトランスフォーメーションを支える処遇制度
- デジタル時代の人材戦略を実現に導く6ステップ
第1章では、デジタル化の現状を人材視点から総括しています。
第2章では、デジタル人材処遇の勘所が取り上げられています。
第3章では、デジタル時代の人材育成や人材獲得のあり方が述べられています。
第4章では、処遇制度のあり方について解説されています。
第5章では、デジタル化に向けた人事・人材マネジメントの変革を会社全体にどのように働きかけ、実行し、組織の隅々にまで浸透させていくかについて、組織開発の観点から整理されています。
デジタル人材とは
デジタル人材とは、主にデジタルビジネスに従事している人材を指します。
特に、デジタル化を推進する組織においては、次の2種類に区分することができます。
- ビジネス系デジタル人材
- IT系デジタル人材
ビジネス系デジタル人材
デジタルを活用して顧客接点を強化し、新たなビジネスモデルの創出を構想、または社内の業務プロセスをデジタルやITテクノロジーを活用して大幅に効率化する構想を行う人材である。
IT系デジタル人材
構想された新しいビジネスモデルや業務プロセス構想をデジタルや最新のテクノロジーを活用して仕組みを動かすための基盤となる情報システムやアプリケーションの設計・構築、更にはデジタルサービス運用に関するITプラットフォームの運用を担う人材である。
デジタルトランスフォーメーションとは
デジタルトランスフォーメーションとは、デジタルテクノロジーを駆使したビジネスの変革を指します。
デジタルテクノロジーには、AI、IoT、ビッグデータなどがあげられます。
デジタルトランスフォーメーションを実現する組織・人材戦略のポイント
次の3つがあげられます。
- 経営層
- ミドルリーダー層
- 組織風土
経営層
既存秩序を破壊し、自社を再定義できる人材の獲得
ミドルリーダー層
デジタルとビジネスを繋げるブリッジパーソンの獲得
組織風土
デジタルトランスフォーメーションの下地作り
デジタル時代の事業・業務・組織トレンドとは
事業のトレンド
- 事業開発スピードの高速化
- 多産多死型の事業開発
- オープンイノベーション
業務のトレンド
- プロジェクト型の業務遂行
- テクノロジー活用による効率化・省力化
- 在宅勤務等、リモートワークの普及
組織のトレンド
- 階層のフラット化
- 多職種混在型の組織
- ネットワーク組織
トレンドに即した評価の考え方
代表的なものとして、つぎの5つがあげられます。
- 評価の短サイクル化
- テレワーク下における評価
- 現場への権限移譲
- 外部市場を意識した評価
- 多面的なフィードバック
求められる制度は、社内の従来の価値基準や秩序からの脱却がポイントとなり、全社大での制度変更になる場合は特に、一朝一夕では成し遂げられない変革となるだろう。
デジタル時代の人材戦略を実現に導くステップ
次の6つのステップを踏まえることが必要です。
デジタル時代の到来はこれまで日本企業が何度も挑戦し跳ね返されて来た日本型人材マネジメントモデル変革の絶好の機会となる。今こそ、人事・人材問題を先送りした過去の経営からは決別すべきである。