いちばん大切なことなのに、段取りに関する教科書がなかったために、クリエイティブディレクター水野学氏は自ら「教科書」を書きました
企業や商品のブランディングをデザインでサポートする仕事を通して、世の中をあっと言わせてきた水野さんは「くまモン」や「イオンのホームコーディ」など、あなたもよく知っているキャラクターや商品に数多く関わってきました。
同時に何十件も仕事を同時並行させるための秘訣は「段取り」に尽きると断言されます。
段取りは、仕事の「超基本」です。
「段取りはこうするんだよ」と学校でも社会でも教えてくれない。そのような疑問から本書は生まれました。
仕事の達人である著者はとてもめんどくさがりやです。
なのになぜわざわざ段取りするの?
それは、段取りをしたほうが「結果的にめんどうくさくないから」です。
あなたが、手間と時間をかけるのが、とにかく嫌であるならば、本書をのぞいてみる価値はあります。
本書の目次は次の通りです。
- 段取りは「目的地」を決めるところから
- 最高の段取りをするために「目的地までの地図」を描こう
- 目的地まで最短距離で進もうー時間と効率化の話
- 脳内に「空白をつくる」ために段取りをしよう
- 目的地までチームで動こう
- 仕事がとにかく遅い
- 段取りが悪いといつも言われる
- チームがまとまらない
段取りとはルーティン化すること
水野さんが大切にしているのは「ルーティン化」です。
どんな仕事もぜんぶ「同じ」だと思っているのです。
異なるプロジェクトであっても、表面上は違って見えようとも、
仕事の骨格、本質はすべて同じであると彼は言います。
あらゆることを「ルーティン」にしておけば、滞りなく仕事が進むのです。
段取りとはルーティン化と言い換えられると、水野さんは言います。
段取りによって仕事をルーティン化し、ベースをきちんとしておくことで、仕事のアウトプットのレベルが上がるのです。
頭を使うべきところに、時間を十分にかけるために、その必要のない部分はできるかぎりルーティン化し、負荷や負担をあらかじめ減らすのでしょう。
仕事を「やりとげる」ために段取りしよう
段取りをする理由は、仕事を「やりとげる」ためです。
アイデアを出しておしまいではなく、きちんと形にして世の中に生み出すところまでがクリエイティブディレクターの仕事となります。
途中で頓挫したり、空中分解しないように、きちんと段取りできていることが求められると著者は言います。
重要やりとげてはじめて、それは仕事として認められ、お金になります。
「やりとげる」ということはとても大切なことなのです。
とにかく最後までやりとげるために「段取り」は不可欠なのです。
段取りの本(教科書)を書いたことによって、水野さん自身が気づいたこと
本書の執筆の過程で著者は多くの気づきを得たといいます。
「おわりに」と題されたあとがきにおいて、その中のうち、次の2つが記されています。
- 段取りとは、単に仕事を進めるための表面的なスキルでなく、自身の仕事への向き合い方まで変えてくれるものだということ。
- 段取り次第で、仕事はますますおもしろくなるということ。
いくつもの段取りの経験を通して、徐々にあなたは仕事の奥深いところに触れることでしょう。
そうなれば、
もっと段取りよくやりたい、だから仕事の面白さが増していく
というように好循環が生まれてくるはずです。