「これでよかった」と思える、「これからできる22のこと」をあなたは知りたくはないでしょうか
本書の執筆メンバーの代表である法政大学大学院教授の石山恒貴氏には、ずっと気にかかっていることがあったといいます。
なぜ、たくさんの働く人が、ミドル・シニア期に「停滞感」を味わうのか?
本書におけるミドル・シニア期とは「40から54歳のミドル社員」と「55から69歳のシニア社員」を包括する呼称となります。
石山氏は停滞感の原因の多くは日本型雇用の構造的問題にあると指摘します。
根本的な問題解決のためには、組織・企業・職場レベルでの抜本的な取り組みが不可欠であるという認識を示します。
それらを踏まえて、あえて働く個人に対しての処方箋を本書では展開していきます。
その理由は、
日本型雇用は今後もそう簡単には消えないと著者が考えているからです。
ゆえに、
個人にできることにターゲットを絞り、本書が書かれることとなりました。
「そのジワジワとした変化の最中にも、われわれは働き続け、それぞれの仕事人生を歩んでいかなければならない」という事実です。
構造的問題は一朝一夕には解決されることはなく、そうであるならば「実践的」な対応をとらざるを得ないというリアリズムが本書では貫かれています。
会社が変わるのを待って時間切れになれば元も子もありません。
その停滞感を乗り越えるためには、制度改革のような「正論」だけでなく、やはり現実的な「個人レベルでのアクション」が求められているはずです。
本書の特徴は、個人レベルのアクションを考える際に、精神論を基軸に据えないで、あくまでデータに基づいた科学的なアプローチに徹底した点にあります。[/box]
ここでは、共同研究機関であるパーソル総合研究所の総合力がいかんなく発揮されています。
一定規模以上の企業に勤めている4732人のミドル・シニア世代にアンケート調査を行い、そのデータを分析しています。
本書が目指したのは、みなさんがいまの停滞感を払拭し、残りの会社生活を後悔のないものに変えるためのヒントです。
- くすぶっているミドル・シニア
- もうひと花咲かせたいミドル・シニア
- 悩める人事関係者
本書の構成について
全部で7つのパートから構成されています。
- ミドル・シニアの憂鬱
- まずやってみる
- 仕事を意味づける
- 年下とうまくやる
- 居場所をつくる
- 学びを活かす
- 「リアル」を見通す
この7つのパートのうち、2から6は自ら積極的に行動できる人間に特有の5つの行動特性となります。
それらは、ミドル・シニア期の会社員のジョブ・パフォーマンスに影響を与えている要因を分析した結果、導き出されたものです。
あなた自身がこれからできること(やるべきこと)とは
具体的な仕事術である、「これからできる22のこと」とは次の通りとなります。
ミドル・シニアの憂鬱
- 42.5歳からの停滞感を「自分だけのせい」にしない
- 50代にやってくる「最大の谷」に備える
- 「忍耐力」ばかりを鍛えている自分に気づく
- 一度立ち止まって、「自分だけの地図」をつくる
- 勘・気合に頼らず、「足りないもの」を探す
まずやってみる
- 動けないときこそ、踏み込んだ「情報収集」を
- 「横並び文化」の外に出て、「キャリア」の霧を晴らす
- 口出しがいやなら「フィードバック・シーキング」
仕事を意味づける
- 「社内の誰の役に立つか」という視点で考える
- 「社内の論理」から離れ、仕事を見つめ直す
- 1枚のシートで「埋もれた関心」を掘り起こす
年下とうまくやる
- 誰に対しても「さんづけ&敬語」を徹底する
- 「徹底してたてつく絶対的な味方」になる
- 飲み会に頼らず、「自分らしさ」を見せる
居場所をつくる
- 「解決策」ではなく、「解決できる人」を手渡す
- 「壁打ちの壁」に徹して、「相談され上手」になる
- 「弱さ」を隠さず、周囲の「心理的安全」を高める
学びを活かす
- 「知る」で終わらせず、「やる」に変換する
- 「心地よい空間」の外へ何度も「越境」する
「リアル」を見通す
- ポストオフ経験の「リアル」を予見しておく
- 再びプレーヤーとして輝くための「助走」をつける
- シニア期の「上昇気流」を味方につける
自分にこれからも期待しよう
人は誰でも、何歳からでも、はるかに予想を超えて成長できるーーきれいごとに聞こえるかもしれませんが、これが実務者としての私の実感であると同時に、人材育成の研究者としての私の確信です。
ミドル・シニア期になると、人はもう成長できないという思い込みがあなたにもありませんか?
そんなことは全然ないのです、というのが本書のメッセージであるのでしょう。
もう成長しないなど、ない
自分はもっと成長できるという明るい見通しを、本書の仕事術を駆使することで、きっとあなたも持つことができるはずです。
前向きな見通しを持てれば、もっとあなたは自力で走り続けられるに違いありません。
そのとき、憂鬱はあなたの元を去っているでしょう。