「世界一子どもが幸せな国」であるオランダの人たちの働き方や生き方から学ぶ
一般社団法人「1more Baby応援団」の理事である秋山開氏を中心にして執筆された本書は、オランダ人たちの生き方や働き方から、私たち日本人はもっとよりよく生きるために学べることがたくさんあると問題提起します。
「18時に帰る」という社会全体の基本的なコンセンサス(合意)がある中で、しなやかに働き、しなやかに生きているオランダから、日本が学べることはたくさんある、ということを伝えたいと思っています。
ここで言われている「しなやかさ」とは、
人生のステージに応じた働き方や生き方を選択できる柔軟性や寛容性のことを指します。
重要なのは、「個人の価値観に合わせた選択が自由にできる社会であるか、そして、それを実現できる社会であるか」です。このことこそが、人々が幸せに暮らせるかどうかの鍵を握るのだと思います。
執筆陣が、オランダ国内の約30か所において総勢50人以上の人たちにインタビューするなかで発見したさまざまな施策や考え方、またそれらに対するヒントがたくさん紹介されています。
ぜひ、手に取って、ご参考にしてみてください。
本書では、オランダ的な家族を中心とした、働き方をソフトワークと定義し、そのような働き方をする彼らをソフトワーカーと定義しています。
秋山氏は言います。ソフトワークは家庭と仕事を分断せず、幸せの好循環を生み出します。ソフトワークという働き方は、理想の数だけ子どもを産み育てられる理想的な社会の実現に向けての重要なキーワードだと考えます、と。
- 働きながら子育てしたい女性
- 働きながら子育てしたい男性
- 働き方に悩む部下を持つ上司
本書の構成について
本書は、全部で9つのパートから構成されています。
- 「幸せ」のためにオランダが選んだ働き方とは?
- 生産性を重視した仕事の基本
- オランダ型ワークシェアリングの仕組み
- 「同一労働同一条件」が優秀な人材を集める理由
- オランダ式テレワークがもたらした効果
- ソフトワークを実現する「チーム主義」とは?
- 社員の「モチベーション」を重視すると企業は成長する
- 「世界一子どもが幸せな国」のソフトワーカーの生き方
- 「2人目の壁」を突破するために必要なこと
もう少し詳しく言うと、
- 「おとな(親)が幸せだから子どもも幸せ」というオランダ人の考え方
- オランダ人の仕事に対する基本的なメンタリティについて
- オランダの働き方改革の象徴である「ワークシェアリング」について
- 「同一労働同一賃金」の先を行く「同一労働同一条件」について
- 働く場所や時間を選ばないテレワークの実態について
- ソフトワークを実現するチーム主義について
- 高いモチベーションの要因について
- オランダに住むソフトワーカーの「生の声」
- 日本が「2人目の壁」を突破する糸口
18時になったらみんな家に帰る
オランダには働く人たちの間に共有されている一つの認識(コンセンサス)があります。
18時になったらみんな家に帰る
これは、オランダ人が「しなやかさ」を持って働き、「しなやかさ」を持って生きていることの象徴であるといえるものです。
言うまでもなく、
18時が来たら、無責任に仕事を投げ出し、一目散に退社するということではありません。
18時に帰ると決めているので、そこに向けてどう働くかを考え抜き、いかに効率よく働くかを実践するのです。
このような労働観・人生観をサポートする職場の理解、社会の寛容性は、日本も広く共有し、目指すべきところであります。
自分の時間、家族の時間を優先させるために、働き方をアレンジするということ、さらにはそれが受け入れられる社会であるということなのです。
あなたの会社では、このような働き方を実践しようとすると、白い目で見られたり、評価が下がる懸念はありませんか?
働けば働くほど豊かさに近づくことができた昭和的労働観がまだ残存してはいないでしょうか。
長く働くことが手放しで称賛された時代はすでに終わりを迎えています。
オランダのように、常に人生の中心に家族というものを置き、自分や家族の時間を確保するために、いかに効率よく働くかということが、大きな意味を持つ時代に入ったといえるのです。
オランダができていることが日本にできないわけはありません。
オランダ人も日本人も幸せを求め生きていることに変わりはないのです。
ただ、彼らの方が少しばかり、幸せに対して貪欲であるのでしょう。
最も強く感じたことは、みんなが「幸せに暮らすにはどうしたらいいか」を模索しているということでした。
オランダ人もなにもかも始めからうまくいったわけではないようです。
しかも、現在ただいまも、模索中です。
働き方の「先輩」であるオランダ人を参考にしながら、自分たちにあったやり方を考え、実行に移すことがあなたにもわたしにもとても大事なことに違いありません。
大いに模索しましょう。