ビジネスモデルだけでは不十分!
グロービス経営大学院客員准教授の唐澤俊輔氏は言います。
この本で私が提言するのは、カルチャーを言語化し、可視化し、それを社内外に浸透させることで、企業と社員の期待値のギャップを減らし、誰もが自分にとって「いい会社」を見つけられる「カルチャーモデル」を推進すべきだということです。
目に見えない空気のような存在であると認識されてきたカルチャーを言語化し、社内外で共有されることによって、言行一致した組織を築きあげることができるのだと、著者は主張します。
この本では、カルチャーを言語化し共有化するための手法について、具体的な事例とともに触れていきます。実際にあなたの所属する組織において、カルチャーモデルを推進するための手引書となれば幸いです。
- 人事担当者
- マネージャー
- 経営者
本書の構成について
本書は全部で7つのパートから構成されています。
- なぜカルチャーが重要になるのか
- カルチャーとは何か
- どういったカルチャーをつくるべきか
- カルチャーモデルをつくる
- いかにカルチャーを言語化するか
- カルチャーの浸透のさせ方
- これからの経営とカルチャー
なぜカルチャーが重要になるのか
顧客が製品のブランドに興味や関心を持ち、ブランドに惹かれ、好感を抱くのと同様に、働く人々が興味や関心を持ち、惹かれ好感を持つのは、企業のカルチャーに他なりません。
企業におけるカルチャーは事業にも直接的に影響し、戦略を設計するための羅針盤にもなります。「カルチャーの構築は経営戦略である」と認識するべきなのです。
企業が事業戦略として「ビジネスモデル」を構築するのと同様に、組織戦略として「カルチャーモデル」についてもロジカルに考え、同じ重みで検討するべきなのです。
カルチャーモデルの7要素
カルチャーモデルは次の7要素から構成されています。
- スタンス
- シェアドバリュー
- ストラクチャー
- システム
- スタッフ
- スキル
- スタイル
もう少しばかり詳しくいうと、
- 組織としてのあり方
- 行動指針
- 組織の構造・形態
- 制度
- 人の採用や育成
- 組織としてのスキル・強み
- 組織風土
カルチャーを言語化する
ここでいうカルチャーの言語化とは、「成果主義での評価制度にしよう」「新卒一括採用で自社らしい社員を育成していこう」といった人事制度や採用などの方針を決めていくことを指します。
言葉にして表現することで、自社がどのようなカルチャーを目指すのかを明確に共有することができるのです。
空気のように今まで存在していたカルチャーが可視化され、社内における考え(考え方)の相違などが議論の対象となり、すり合わせしていくことが可能となります。
建設的な議論が可能となれば、その議論の結果に基づき、自分たちなりに社員は行動を始めるでしょう。
そして、社員一人ひとりが自分たちの言葉で自社のカルチャーを語れるようになったとき、カルチャーを意図的に構築することができたと言えるでしょう。
カルチャーを浸透させるために
著者はマーケティングの5A理論を応用する方法を推奨します。
5A理論
- 認知
- 訴求
- 調査
- 行動
- 推奨
これを応用して、
- カルチャーのタッチポイントをつくる
- 共通認識を醸成する
- すぐ聞ける・調べられる状態をつくる
- 日々の行動や言動を促す
- 他者に自分の会社を薦める
言うまでもなく、カルチャーの浸透のキーマンとなるのは、現場のマネージャーひとりひとりなのです。