論理的思考力の習得に成功した人は驚くほど少ない?!
戦略系コンサルタントとして著名な波頭亮氏は言います。
本書は、論理的思考力を実際に身につけるための1冊である。
ビジネスパーソンであるならば、論理的思考力が業務上において最重要能力の筆頭であることは十分に理解していることでしょう。
本書はこうした経験を踏まえて、論理的思考力について学習し、実際に論理的思考力を身につけていただくための構成となっている。
論理的思考力を構成するコアスキルとそのスキル習得のための具体策の提示こそが、他の論理的思考に関する書籍との違いであると言えます。
- ロジカルシンキングが下手な人
- ロジカルシンキングをおさらいしたい人
- ロジカルシンキングにはじめて触れる人
本書の構成について
本書は全部で4章から構成されています。
- 論理的思考とは
- 論理的思考のコアスキル
- コアスキル習得の具体的方法
- クリティカル・シンキング
論理的思考のコアスキルとは
次の3つとなります。
- 適切な言語化のスキル
- 分ける・繋げるスキル
- 定量的な判断のスキル
適切な言語化のスキル
適切な言語化は3つの段階によってなされます。
- 言葉の選択
- 十全な文
- 文章・文脈
すなわち、
- 思考している意味内容を的確に表す言葉を探し、選び取る
- 論理を構築するための文(命題)を文法に則って生成する
- 文を繋げて文脈を作り、論理を成す文章にする
分ける・繋げるスキル
論理的な思考における有効な分け方の3要件
- ディメンジョンの統一
- 適切なクライテリアの設定
- MECEな分け方
- ディメンジョンの統一とは、分けられた事象要素が属する抽象水準=次元が、同一抽象水準上、同一次元上になければならないことを指します。
- クライテリアとは、思考対象を分けるときの切り口=分類基準のことです。
- MECEとは、「相互背反、集合網羅」の意味の英単語の頭文字からなる言葉で、モレなく、ダブりなくという意味を持ちます。
繋げるスキルにおける重要な概念
- コロケーション
- アナロジー
- コロケーションとは、事象と事象、概念と概念を意味的連関性によってつなげることです。
- アナロジーとは、未知の事象を既知の事象にあてはめて(なぞらえて)推論することを指します。
定量的な判断のスキル
判断のスキルを構成するのは次の2つです。
- 確率
- 統計
「定量的な判断」は、「確率」と「統計」によって担保される。
アセットとしての知識と経験
3つのコアスキルがエンジンであるのならば、これらを実際に動かす「ガソリン」が必要です。
そのガソリンとは、「知識」と「経験」なのです。
3つのコアスキルの解説においても直接的、間接的に触れてきたが、これら3つのスキルはどれも知識と経験が母胎になってこそ成立し発揮され得るものである。
コアスキル習得のための具体的な方法
習得するために何を練習すればよいのでしょうか
5つあります。
- 「タテの因果・ヨコの因果」の捕捉
- 「ベン図」を用いた集合関係の判断
- 「ピラミッドストラクチャー」による体系化
- 「フェルミ推定」による定量的感覚の訓練
- 「正反対の立論」、すなわち1つのイシューに対して肯定側と否定側の両方の論理の構築
習得するためにどう練習すればいいのでしょうか
3つあります。
- 手を使って考える
- 経験と紐づけて考える
- 集中して考える
筆者の2つの思い
本書の執筆にあたり2つの思いがあると著者は述べます。
どうすれば実際に論理的思考力を習得することができるのかについて、理論と実践を合わせた形で具体的に紹介したいと考えたのが本書執筆の動機である。
すなわち人間がAIの主人として有効にAIを活用できる存在でいるためにも、人間にとって論理的思考力は極めて重要な能力である。そのためにも、実際に論理的思考力を身につけるための有効なノウハウは社会的に意義を持つと考えている。
論理的思考力はとてもヒューマンなものなのかもしれない。
AIが高度に発達した未来において、あなたの人生の主役があなた自身であるために、論理的思考力は不可欠なのでしょう。
そのことを論理的に理解できないのであれば、あなたは直ぐに本書を手に取るべきです。
主体性とは、論理的思考と切り離せないものであるのだから。