自分・チーム・会社が変わる
小野田理一郎氏は言います。
この本は、学習する組織を目指してみたいと考える社員、マネージャー、あるいは経営者が、どうしたら学習する組織への道を歩み始めることができるか、また、すでに歩んでいる組織がどのように人や組織の能力と意識をさらに高め、結果を出し続けることができるのかをご一緒に考えるために書きました。
学習する組織とは、
MITのピーター・センゲ氏や行動科学の大家であるクリス・アージリス氏が生み出し普及させた概念であり、理論・手法体系です。
本書では次のように定義づけています。
目的に向けて効果的に行動するために、集団としての意識と能力を継続的に高め、伸ばし続ける組織です。
どのような組織にも、社会の中で存在する目的や使命があるはずです。
あなたの組織は、
今その目的の達成に向けて前進しているでしょうか?
目的に至るための個々の目標はクリアできているでしょうか?
- マネージャー
- 人事部
- 経営層
本書の構成について
本書は全部で9章から構成されています。
- 学習する組織とは何か
- 組織の学習能力
- 自己マスタリー
- システム思考
- メンタル・モデル
- チーム学習
- 共有ビジョン
- 実践上の課題と対策
- 組織の未来、リーダーシップの未来
学習する組織の目指す成果
次の6つの状態が成果として期待されます。
- 風通しがよく、オープンに話し合う文化が根付いている
- それぞれがよく考え、聴き、話すことが習慣化している
- 組織の中で目的、ビジョン、価値観とその意味が共有され行動に根付いている
- チームおよび組織での全体最適化への取り組みが自発的に行われている
- 事業環境の変化をいち早く察知し、迅速に、しなやかに適応しながらも、その核となるアイデンティティが保持される
- 高いチームパフォーマンスが発揮され、それぞれがやりがいを感じて働いている
学習する組織の概念の最大の貢献は、それぞれのフィールドを個別に行うのではなく、統合的に行ってこそ価値が最大化されるという点にあります。
チームの中核的な学習能力
チームが目的を効果的に達成するためには次の3つの中核的な学習能力が必要です。
- 志を育成する能力
- 複雑性を理解する能力
- 共創的に対話する能力
志を育成する能力
個人、チーム、組織が、自分たちが本当に望むことを思い描き、それに向かって自ら望んで変化していくための意識と能力。
複雑性を理解する能力
自らの理解とほかの人の理解を重ね合わせて、さまざまなつながりでつくられるシステムの全体像とその作用を理解する意識と能力。
共創的に対話する能力
個人、チーム、組織に根強く存在する無意識の前提を振り返り、内省しながら、ともに創造的に考え、話し合うための意識と能力。
組織変革の試みが直面する課題
次の10個となります。
- 時間の不足
- 支援の不足
- 自身の関与への逡巡
- 言行不一致
- 恐れと不安
- 評価体系の見直し
- 改革者対部外者
- 普及・浸透
- 組織の統治
- 組織の目的と戦略
組織の目的は、その組織に関わる人たちにとっての価値を生み出すという内的な方向性を持つと同時に、本来的に価値は組織の外部で受け入れられ、活用されて初めて創造されるものです。