職場の困り者たちから、あなたは身を守らなければならない!
著者のMP人間科学研究所代表である榎本博明氏は、職場における厄介者のうち、手ごわい3つのタイプの人間との接し方について、本書の中でユーモアを交えながら説明します。
本書では、こうした何とも迷惑なカイシャの3バカの生態を探り、その心理メカニズムを解明すると同時に、その弊害から身を守る術についてのヒントを示すことにした。
職場には、様々な「厄介者=バカ」が存在し、組織の生産性や効率性、革新性を阻害すると著者は言います。
そのなかでも、とりわけ、つぎの3バカは手に負えない難敵となります。
ビッグ3
- 会議好き
- 規則好き
- 数字好き
悪質ハッキリ言って、この3バカはタチが悪いです。
なぜなら、あからさまに無茶苦茶を言っているようには見えないからです。
- 勝手に決めずに会議でみんなの意見や承認を得ることは一概に悪いとは言い切れない。
- 規則を守るべきだという言い分を全否定することは案外に難しい。
- 目に見える数字ではっきり示せと言われ、困惑するのだが、反論はなかなかできないものだ。
ゆえに、絶滅しません。
あからさまに間違ったことを言っているなら反論しやすい。だが、これら3バカの言い分は、一見正当な感じがするから真っ向から反論しにくいのだ。だから振り回される。
会議好き
それはここでは決めずに会議でみんなで話し合って決めよう。
規則好き
出遅れたくないという気持ちはわかるが、規則だからちゃんと手順を踏まないと
数字好き
言いたいことがあるなら、はっきりわかるように数字で示せ
このような3バカに共通する心理構造について著者は次のように指摘します。
共通する心理構造
- 3バカは、すべて自信のない保身的な小人物である
- 3バカは、すべて自信のない「自分好き」である
3バカに対して、そのおかしなところ、困るところを理詰めで説明して改めてもらおうとしたところで、感情的な反発を招くだけである。
では、どうすればいいのか?
次のように対処しましょうと榎本さんはいいます。
会議好きバカへの対処法
- 会議中に本来の仕事にかかわる内職をする
- やむを得ないとみなされるサボり方を工夫する
規則好きバカへの対処法
- 前例を探す
- 例外規定を作ろうと提案する
- 自己愛をくすぐる
- ツルのひと声を期待する
- 加点法的発想に導く
数字好きバカへの対処法
- 数字好きにつけ込んで、数字好きの弊害を防ぐ
- 苛つかずに、数字で納得する思考力のなさに合わせる
- 「見える化」へのこだわりに合わせて、大げさに見せる工夫をする
- 都合の良いデータを生み出す
詳細については、本書に直接あたっていただきたいのですが、いずれの対処法においても、その根本は、正面から戦わないというスタンスの維持です。
まともに戦っても、バカを見るのはこちらサイドとなります。
ゆえに、
ずらし、かわし、はぐらかすことで、相手の勢いやアドバンテージを消し去る作戦となります。
極めて高度な対応と忍耐力が不可欠なのです。
そこで本書では、とくに多くの組織人が苦しめられている障害物を「カイシャの3バカ」としてクローズアップし、その心理構造と具体的な攻略法を示すことにした。ぜひ参考にして、この種の理不尽な圧力を跳ね返したり、うまくかわしたりしていただきたい。
本書の構成について
本書は、全部で5章から構成されています。
- 組織に根を張るバカの壁たち
- 「会議好き」はなぜバカなのか?
- 「規則好き」はなぜバカなのか?
- 「数字好き」はなぜバカなのか?
- カイシャの3バカからいかに身を守るか
第一章には、3バカ以外の様々な「厄介者」が列挙されています。
あらためて思ったのは、職場はこのような人たちに振り回されていながらも、それでもなんとか回っているという、まともな人たちの献身的な努力の存在です。
あなたの中にある「バカ」的要素
身近にいる目障りな人物を思い浮かべ、余裕で笑っているうちに、「もしかしたら、自分にも3バカの要素があるかも」と、ふと不安になっている人がいるかもしれない。
仕事をするとは、責任を果たすと同義です。
したがって、
根拠が合理的に説明できないと、多くの場合、納得を得られることは難しいでしょう。
ゆえに、
- 責任を分散化し、希薄化することを目的として、会議を繰り返すことは、ある意味理解はできます。
- 何かあったときに責められないように、前例を踏襲しただけです、規則に従ったまでですとの発言は、ある意味理解できます。
- 根拠の信頼性、信ぴょう性として、数字に語らせることはそんなに不自然なことでないことも、ある意味理解できます。
一理もないとは言いません。
問題なのは、
あらゆるケースにおいて、万能薬のように、このような方法論を一本調子で当てはめようとする硬直した考え方にあります。
ビジネスは生き物です。
「生き物」に対して、「生きた方法」を臨機応変に繰り出すほうが、効果的に、実用的に決まっています。
「バカ」とは思考の硬直化の別名にほかなりません。
もっと、柔軟に、もっと軽やかに、職場を泳ぎませんか?